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真夜中の本音_4 ページ36

「まぁ、…あの頃はそれで納得していたし…、
危険な目に遭わせたくないという目的が最優先だったからな。後悔は…してない。」

『私も後悔なんかしてないわよ。』

「でも、…確かめにきたってことは、
そういうことなんじゃないかと…思ってな」

『……は?』


優しく身体を離し、Aの顔を見つめてそう告げる降谷。
肩を優しく掴まれ、その距離は20センチも無い。

再びあの日の話題を持ち出してきた頭上の彼に、
Aは怪訝な表情を向けた。


「キスしてくれって…、突然言われて、驚いたけどな」

『…あ、あれは、…フリでいいって――』

「わざわざ僕に、頼みにきた。…免疫とか何とか口にしながら」

『そ、それは…』

「”そういうこと”かと、思ったんだが」


優しげに、しかし、どこか切なげに、試すような表情を向けてくる降谷に、
Aは口を噤んだ。


“そういうことじゃないの?”

卒業式の時にAが言ったセリフ。
まさか、そんなことを覚えているはずもないのに。
Aですら、もう思い出せないのに。



“何なのよ…この男”


と、心拍数がどんどん上昇する心の中で呟くA。
6年前とは別人に見えることがあるその男。
“安室”という人物でもあるのだ。それも当然と考えながら、
複雑そうに眉を寄せるも、彼から目を逸らすことは出来なかった。


そして、そっと頬に彼の手が触れたと思ったら、
頭上からゆっくり近づいてくる彼の顔。
反射的にその身体から距離を置こうとするものの――、



『…っ…』


ふわりと、軽く重なった唇。
直前に、それを受け入れるように、柔らかく細められたAの目。

あの日。
ポアロで、彼にキスしてくれなどと唐突にお願いした時と同じだ。

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設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - 番外編は、続編みたくなりそうな予感ですが、引き続きお楽しみ頂けたら嬉しく思います! (2020年2月19日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - なーこさん» いつも私の作品を読んでくださりありがとうございます!なーこさんからの嬉しいコメントにいつも励まされております。長々と引っ張ってしまった感はありますが、葛藤もあり、それになかなか素直になれない2人のもどかしい感じを分かって頂けて嬉しいです。 (2020年2月19日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*徐々に入り組んでいく二人の関係の糸が解けるのか、切れてしまうのか、お互い1歩進んで戻っての繰り返しがもどかしくて良いですね...笑。あと部下の一ノ瀬くん...可愛い...。5ヶ月に渡る長期連載お疲れ様です!番外編も楽しみにしてます*。 (2020年2月18日 23時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - ますさん» そう言って頂けて本当に嬉しいです!ここまでお読み頂きありがとうございました。宜しければ、引き続き更新予定のエピローグもお楽しみくださいませ。 (2020年2月18日 0時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
ます - 更新楽しみに毎日過ごしてました。笑素敵な作品をありがとうございました! (2020年2月17日 2時) (レス) id: 5f95b1313e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2020年2月7日 19時

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