検索窓
今日:3 hit、昨日:15 hit、合計:90,819 hit

真夜中の本音_3 ページ35

「あの頃は、近くにいる人間を巻き込まないという自信が…無かったんだ。」

『……』

「…自分の信念のために、目的のために、
危険に晒してしまうのが、怖かったのかもしれない。
でも、今なら…。そう、…思ってる」


一緒にいたい。
傍にいたい。
その言葉の意図をまだ完全に量れない様子のAは、
降谷の話を黙って聞いていたが、
背中に回された彼の腕の温度を感じながら、静かに口を開いた。


『私は…、近くにいることで、貴方が危険に晒されることが、怖いだけよ。
ただ、…それだけ。
自分のことは…、自分で守るわよ』

「…」

『貴方と離れた時…、諸伏…にも、言われたわ。何で…、それを貴方に言わないのかって。
でも、やっぱり、嫌だったから。
…口にして、貴方に伝えて、…良くない方向に進んでしまったらって、思っただけよ。』



Aの口から出た景光の名に、降谷はわずかに表情を歪めた。
Aもまた、口にするのを一瞬躊躇い、切なそうな表情を浮かべていた。




「… 同じことを考えていた、ということか。
…予測は、していたけどな。」

『…』

「でも、内情を知っている人間が、…大事な人…ならと、そう思う。
守りきれる自信がある。その方が…ずっと。
君が、君自身を、という意味も含めて…だ。」

『…どういう意味よ…』


“大事な人”
少し前からA自身も考えていたこと。
認識してしまったことだ。

今でもそうなのだと。
――今更ながらに。

でも、それでもやはり迷いをすぐに捨て切れるわけじゃない。



「…自分の身を、守ろうとするだろう。
それに、もし狙われたとしても、一般市民よりは…、 安全だろう?
まぁ、…A相手なら、
すぐに投げ飛ばされてしまいそうだからな。」

『…なんかそれ、前に松田に似たようなこと言われた気がするんだけど』


少し戸惑っていたAは、仏頂面で反論した。

抱きしめられたままだ。
顔の見えない、しかし距離のなくなった文字通り目の前の彼に。


「よく覚えてるな。」

『ちょっと、思い出しただけ…よ』

「…互いを危険な目に遭わせたく無かった…というわけか。
そういえば前に、伊達に言われたな。お前ら、何か似てるなって。」

『…そんなことあった?』


そして今度は、もう一人の同期、
伊達のセリフを思い出したような降谷だが、Aは良く覚えていない様子だ。
それぞれの口から出た同期たちの話。

それは、2人の表情を少し切なくさせた。

真夜中の本音_4→←真夜中の本音_2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (89 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
126人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

white12(プロフ) - 番外編は、続編みたくなりそうな予感ですが、引き続きお楽しみ頂けたら嬉しく思います! (2020年2月19日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - なーこさん» いつも私の作品を読んでくださりありがとうございます!なーこさんからの嬉しいコメントにいつも励まされております。長々と引っ張ってしまった感はありますが、葛藤もあり、それになかなか素直になれない2人のもどかしい感じを分かって頂けて嬉しいです。 (2020年2月19日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*徐々に入り組んでいく二人の関係の糸が解けるのか、切れてしまうのか、お互い1歩進んで戻っての繰り返しがもどかしくて良いですね...笑。あと部下の一ノ瀬くん...可愛い...。5ヶ月に渡る長期連載お疲れ様です!番外編も楽しみにしてます*。 (2020年2月18日 23時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - ますさん» そう言って頂けて本当に嬉しいです!ここまでお読み頂きありがとうございました。宜しければ、引き続き更新予定のエピローグもお楽しみくださいませ。 (2020年2月18日 0時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
ます - 更新楽しみに毎日過ごしてました。笑素敵な作品をありがとうございました! (2020年2月17日 2時) (レス) id: 5f95b1313e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:white12 | 作成日時:2020年2月7日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。