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賑やかな朝食 ページ4

翌日。
瞼の奥に感じる光に、再びうっすらと目を開けたA。

カーテンから漏れる陽の光だと気づき、
同時に、もう朝なのだと理解する。


そして、ゆっくり上半身を起こし、
夜中に見た薄暗い空間では認識できなかった室内を眺めるA。
見覚えのない、最低限のシンプルな家具が並ぶ和室だ。


もう、あまり記憶にはないが、
何度か訪れた降谷の部屋とは違う部屋。
彼が言っていたように、安室の部屋ということだろう。


どうやら部屋の主はいない様子のシンとした空間で、
Aは、何度か訪れた降谷の部屋で、
同じく既に主が出て行った後で1人目覚めたあの時のことを思い出していた。


この部屋からもほんのり感じる、降谷の匂いの中で。



身体はずいぶん軽くなっており、頭痛も和らいでいた。

ぼんやりとした思考の中で記憶を呼び起こしながら、
腕にはめたままの時計を見ると、7時を指していた。


(…相変わらず、ずいぶん早い出勤ね。)



布団を離れ、ふと思い出したようにジャケットの内ポケットに手を入れるA。
そこには、昨日一ノ瀬に手渡されたボイスレコーダーがあった。

安堵するように小さく息を吐いたAは、
簡単に布団を畳むと、すぐ側に置いていてくれていたカバンを手に、部屋を出ようとした。


ドアを開けるとそこはキッチンで、その先に見えるのは玄関のドア。
1K、…いや、1DKの部屋のようだ。


そして、キッチンの小さなテーブルの上に、
いくつかのお皿とメモ書きが置かれているのに気づき、近づくと、
そこに用意されていた朝食に、ふと表情を緩めるA。

ご飯に味噌汁、卵焼きに焼鮭といった日本の朝食というべきそれらが並んだテーブルを見つめ、
複雑そうに小さく笑みを浮かべた。



そうした光景も、
あの頃を思い出させるからだ。



身体を重ねた後、
翌朝に1人目覚めた彼の部屋では、必ず朝食が用意されていた。
メモ書きが添えられた朝食が。

賑やかな朝食_2→←こっちのセリフ_3



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設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - 番外編は、続編みたくなりそうな予感ですが、引き続きお楽しみ頂けたら嬉しく思います! (2020年2月19日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - なーこさん» いつも私の作品を読んでくださりありがとうございます!なーこさんからの嬉しいコメントにいつも励まされております。長々と引っ張ってしまった感はありますが、葛藤もあり、それになかなか素直になれない2人のもどかしい感じを分かって頂けて嬉しいです。 (2020年2月19日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*徐々に入り組んでいく二人の関係の糸が解けるのか、切れてしまうのか、お互い1歩進んで戻っての繰り返しがもどかしくて良いですね...笑。あと部下の一ノ瀬くん...可愛い...。5ヶ月に渡る長期連載お疲れ様です!番外編も楽しみにしてます*。 (2020年2月18日 23時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - ますさん» そう言って頂けて本当に嬉しいです!ここまでお読み頂きありがとうございました。宜しければ、引き続き更新予定のエピローグもお楽しみくださいませ。 (2020年2月18日 0時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
ます - 更新楽しみに毎日過ごしてました。笑素敵な作品をありがとうございました! (2020年2月17日 2時) (レス) id: 5f95b1313e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2020年2月7日 19時

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