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黒に染まりかけたグレー ページ30

「…いつか、と思ってくれて構わない。
もちろん、こんなことを言って、拒絶されることも想定しているさ。
…あの、一ノ瀬という彼と付き合っているのならそれで良い。
ただ、…言っておきたかっただけだ」

『………』


降谷の言葉に思考が追いつくにはもう少しかかるようで、
ただ、視線を左右に彷徨わせ、あからさまに戸惑うA。


「…悪い。困らせるつもりはない。
ただ、…ポアロでAに再会してから、いや、君が…刺されてから…かもしれない。
あれから、色々と考えた末の、…僕なりの結論だ。
この間、突然店に来たと思ったら、あんな”お願い”をされて…、
不本意な気もするが、…考えざるを得なかった。」

『……何、言ってるか、分からない。
だって、貴方は――』

「今なら、守れる。…そう、思ってる」

『……』


降谷の言葉には嘘はなかった。
ただ、そのきっかけとなったのは、度々危なっかしい姿を目にしていたこと、
そして、あの”お願い”のこと。
嫌でも、気付かされた、ということだ。


そして――、
もちろん口にはしなかったが、
杞憂に終わった”銀髪の”人物と接触していた先日のことも、大きな原因だった。



傍にいたい。
彼がそういう話をしにきたとは露ほども思っていなかったAは、
まだ少し濡れている髪に軽く手を当て、思考を整理するような仕草を見せた。


しかし、一ノ瀬に言われたことで、
確かめたいと半ば衝動的にポアロに押しかけ、
彼にキスのふりをしてくれと迫ったあの日。

単純に昔を思い出した、というものではなかった。
触れられることが、――嫌では無かった。


そういうことに対する鋭さには欠けているAでも、
理解してしまった自身の感情。

目の前にいる人物は、
どうあがいても、大事な人なのだと。
その感情を思い返したように、Aは少しずつ戸惑い始めた。

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設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - 番外編は、続編みたくなりそうな予感ですが、引き続きお楽しみ頂けたら嬉しく思います! (2020年2月19日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - なーこさん» いつも私の作品を読んでくださりありがとうございます!なーこさんからの嬉しいコメントにいつも励まされております。長々と引っ張ってしまった感はありますが、葛藤もあり、それになかなか素直になれない2人のもどかしい感じを分かって頂けて嬉しいです。 (2020年2月19日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*徐々に入り組んでいく二人の関係の糸が解けるのか、切れてしまうのか、お互い1歩進んで戻っての繰り返しがもどかしくて良いですね...笑。あと部下の一ノ瀬くん...可愛い...。5ヶ月に渡る長期連載お疲れ様です!番外編も楽しみにしてます*。 (2020年2月18日 23時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - ますさん» そう言って頂けて本当に嬉しいです!ここまでお読み頂きありがとうございました。宜しければ、引き続き更新予定のエピローグもお楽しみくださいませ。 (2020年2月18日 0時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
ます - 更新楽しみに毎日過ごしてました。笑素敵な作品をありがとうございました! (2020年2月17日 2時) (レス) id: 5f95b1313e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2020年2月7日 19時

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