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返し忘れていたもの_3 ページ27

一瞬戸惑ったものの、
そっとドアを開け、

“…入って”

と、すぐさま中へ招き入れるA。

その姿を誰かに見られるのは到底好ましいとは言えない彼を、
まるで匿うようにして。

それは、3年前のあの日と全く同じような光景で。

1つ違うのは、あの日とは異なり、目の前の人物はスーツ姿ではなく私服姿であるということだ。


『…こんな時間に何か用?安室さん』


そう、口を開いたA。

“でも、貴方の側にいるのは、問題ないと思いますけどね。
ほら。もうコナンくんには勘違いされているみたいなので…”

以前、彼から言われた言葉。
既に、安室とは、不本意ながら充分に接点が出来てしまっている。

先日、彼の部屋に運んでもらい、一晩休ませてもらった事実もある訳で。

安室の近くにいることは、
“降谷”の近くにいることに比べれば確かに大きな問題ではないだろうと、
A自身も考えていた。


「…遅い時間にすまない。
返して貰おうと、思ってな」

『…』


Aの心情とはうらはらに、
降谷として現れたとでも言うようなその口調に、
Aは不満げに目の前の彼を見据えた。


『…悪かったわ。返そうとは思ってたんだけど、ちょっと忙しかったのよ』


すぐに意図を理解し、パタパタと足早に部屋の中へ向かうと、
ネクタイを手に戻ってきたAは、


『…ありがと。助かったわ』


と、彼にそれを手渡した。


「…アイロンまでかけてくれたのか」

『あの男の手首を縛ってたのよ。皺になったままじゃ、困るでしょ』

「そういうところは相変わらず、几帳面なんだな」


先日、一ノ瀬に言われたようなことを降谷の口から投げかけられ、
Aはわずかに戸惑った。

いや、それ以上に。
“相変わらず”という言葉に反応したのか。

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設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - 番外編は、続編みたくなりそうな予感ですが、引き続きお楽しみ頂けたら嬉しく思います! (2020年2月19日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - なーこさん» いつも私の作品を読んでくださりありがとうございます!なーこさんからの嬉しいコメントにいつも励まされております。長々と引っ張ってしまった感はありますが、葛藤もあり、それになかなか素直になれない2人のもどかしい感じを分かって頂けて嬉しいです。 (2020年2月19日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*徐々に入り組んでいく二人の関係の糸が解けるのか、切れてしまうのか、お互い1歩進んで戻っての繰り返しがもどかしくて良いですね...笑。あと部下の一ノ瀬くん...可愛い...。5ヶ月に渡る長期連載お疲れ様です!番外編も楽しみにしてます*。 (2020年2月18日 23時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - ますさん» そう言って頂けて本当に嬉しいです!ここまでお読み頂きありがとうございました。宜しければ、引き続き更新予定のエピローグもお楽しみくださいませ。 (2020年2月18日 0時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
ます - 更新楽しみに毎日過ごしてました。笑素敵な作品をありがとうございました! (2020年2月17日 2時) (レス) id: 5f95b1313e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2020年2月7日 19時

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