SNOW DROP II (9)【名探偵コナン/警察学校組】

真夏の夜の ページ20

「…はぁ、今日も暑いですね…」

『夏なんだから仕方ないでしょ。もうすぐ8月なんだし。
…でも、今夜は確かに蒸し暑いわね』


2日後の夜。
仕事を終え警視庁を出た一ノ瀬は、建物から出た途端に感じるうだるような暑さに、
不快そうに顔をしかめた。


「とりあえず、証拠はおよそ揃いましたし、…あとは余罪ですね」

『それと、動機ね。
…まさか、父親のファンクラブの情報を悪用していたなんて』

「マネージャーはもともと、あのアーティストの父親のマネージャーも兼ねてましたからね。」

『メジャーデビューして数年、確かにあまり目立ってなかったけど、
曲も出して、時々メディアにも出演していたことを考えれば稼げてなかったとは思えないし…』

「やっぱりマネージャーの私服を肥やすためと…、口車にでも乗せられたってとこでしょうか」


駐車場に向かいながら、ブツブツと会話を交わす2人。


銀髪のアーティスト RYUJI。
彼のマネージャーは、1ヶ月前のなりすまし詐欺犯のうち1人と何度か接触した痕跡があった人物だった。
一時、同じく芸能人である父親のマネージャーも兼任していたその男は、
彼のファンクラブの会員情報から、現在、孫がいる年齢であろう高齢者宅を狙って電話をかけていた、
ということだ。

そして、彼らが接触した付近に必ずいたRYUJIもまた、
犯行に関わっているとみられ、現在拘留中だ。

個人情報を流したのは、マネージャーと考えられるが、
複数名の男たちが関わっていた今回の件。
まだ過去に何件も余罪があると思われ、捜査が進められていた。
そして、他の人物も関与している可能性もある。

こうした詐欺グループは裏で繋がっていることも多いのだ。



『それと、話は変わるけど』

「…？」

『この間の。ありがと』

「え？」


自身よりも20センチ以上低いAの顔。
少しだけ柔らかく緩められたその表情に、一ノ瀬がきょとんとした顔をした。

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