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粉雪舞い散る_2 ページ36

何か、見落としているのかもしれない。
何か、忘れていることがあるかもしれない。


当時の捜査資料を見ることは叶わない。
公安の資料なら尚更だ。
しかし、捜査に加わっていた一(いち)刑事として、やれることはある。


自身の苛立ちとは矛盾している気もするが、
何かが掴めれば、降谷たちの捜査に有力な情報を与えられるかもしれない。
単独で、動いているのかもしれない彼らに。


取り壊しはされない様子のそのビルだが、
新たにどこかの企業が使用することも今のところないようで。

所謂廃ビルのような状態になっているそこに足を踏み入れたものの、
1年ほど前に訪れた際と特に変わった様子もなく、
何か新しい情報はそう簡単に掴めるはずもなく。




再び白い息を吐き出しながら向かったのは、
米花町3丁目の住宅街だった。
その少し先に、Barがあるのだ。


調べたところ、米花町にあるBarは3軒。

そのうち、”米花町の外れ”と言える場所にあるのは1軒。
Scarlet (スカーレット)と名付けられた店だ。



『とうに”ご存知”なんでしょうけど、
…彼の機嫌が悪くなりそうな名前よね』


と、歩きながらどうでもよい独り言を漏らした A。

米花という街の名前から、
どことなくシャーロックホームズを連想させるその場所。
杯戸町という名前も然りだが。

そこから、
おのずと、Scarlet=緋色が連想されるからだ。
シャーロック・ホームズシリーズでホームズが初めてワトソンと出会う場面、
初登場のシーンを描いた小説「緋色の研究」を。


『赤とか茜色とか…、
やっぱり赤色にこだわりでもあるのかしらね。
…殺したいほど憎い相手、って…言ってたけど』


コートのポケットに手を入れ、ゴソゴソと何かを探ったかと思えば、
あのガラス玉を取り出し不機嫌そうに眺めたA。

まるで降谷が映り込んでいるかのように、
足を止め、じぃっとそれを眺めて白い息を吐いた時、
急に瞼に落ちてきた冷たい何かに思わず目を閉じた。

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white12(プロフ) - ra -ra さん» 嬉しいコメントありがとうございます。更新頻度がまちまちで,また,お目汚しの多い作品となりお恥ずかしいですが,今後もお楽しみ頂けると嬉しいです。 (2021年2月22日 20時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra -ra - 初めまして!この小説凄く良いです! (2021年2月21日 13時) (レス) id: 4001d860f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2021年2月19日 20時

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