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華麗なる壁ドン_4 ページ25

一方その頃。

階段を上り、
1つ上の階、つまり1Fに上り、
そのまま裏口に向かっていたAは、
眉をひそめたままもぞもぞと口元を小さく動かしていた。

葛藤と不満をそのまま体現するかのように。


そして――


ドンッ…!


『…っ――!』


考え事のせいか、
それゆえ少々俯き加減だったため、反応が遅れたのか。


突如発せられた音と、
同時に目の前に突如現れた物体に驚いた様子で、
肩を揺らしたと同時にツカツカと進めていた足をピタリと止めたA。


物体――というのは、
ジャケットを纏った誰かの腕だということを即座に認識し、
とっさにその持ち主の顔を見やったAは、
それが見知った人物であることを理解した。


いわゆる壁ドンというやつで行き道を塞がれたわけだ。

先ほどの風見と降谷からの取り調べと、
ぐるぐるとフル回転していた思考ゆえの緊張感の反動か、


(初めてされたけど…壁ドンってやつよね。
相手があの男だったら、速攻で蹴飛ばしてやるところね)

などと、一瞬で行く手を塞がれた華麗な壁ドンというものに、
少々感心しながらどうでも良いことを考えたA。



ついでに、

(…雪野さんなら、喜ぶのかもしれないけど。
って…それも失礼な話よね。雪野さんに対して)

と、降谷に対してかなり失礼なことも心に浮かべていて。




『…佐藤』


「声、かけたんだけど」


華麗なる壁ドンの相手、
いや、それを仕掛けてきた相手は、鋭い視線を携えた同期の佐藤だった。

どうやら、
向かっていた方向である裏口から入ってきたところらしい。



『ごめん。気づかなかった』

「警視庁で何の用だったの?
制服じゃない…ってことは、仕事じゃなさそうよね」


壁から腕を離しジロリとAを見つめて、
事務官の制服を纏っていないことを指摘する佐藤の目は刑事のそれで、
同期とバッタリ会ったことを喜ぶような状況とはかけ離れていて。

何故か立て続けに追及される状況に、
Aは、場にそぐわず気を抜くように軽く肩を揺らして姿勢を整えた。

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white12(プロフ) - ra -ra さん» 嬉しいコメントありがとうございます。更新頻度がまちまちで,また,お目汚しの多い作品となりお恥ずかしいですが,今後もお楽しみ頂けると嬉しいです。 (2021年2月22日 20時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra -ra - 初めまして!この小説凄く良いです! (2021年2月21日 13時) (レス) id: 4001d860f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2021年2月19日 20時

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