Marble −茜色の言葉− (8)【名探偵コナン】

華麗なる壁ドン_2 ページ23

「この案件、もちろん全力で捜査を続けますが――」

「...不本意だが、あと1ヶ月足らずで"全てが"収束するかは確実ではないからな。
来年度になり警視総監が新しい人物になった場合、
やりづらくなるかもしれないことを心配しているんだろう？」

「…」


風見の言いたい事を見透かした様子の降谷が苦い顔した。


警視総監は、
国家公安委員会によって候補者が選出、決定され、
東京都公安委員会と内閣総理大臣の承認を得て任免される流れだ。
近年では、
警察庁刑事局長、警備局長、警察庁次長、
そうした階級の人物が総監へ昇進することが多い。

警察庁は現場で動く警視庁を取りまとめる組織だが、
警察組織のトップである警察庁長官は、警視総監と違い、
警視庁内の人間を"直接的に"指揮することは出来ない。
地位としては警察庁長官に次ぐものであるとはいえ、
言わずもがな、警視総監の権力は絶大なものだ。

ゆえに、当然、次期警視総監の件は、
警察庁そして警視庁の上層部が最も気にしている事案だと言える。

そして、警視総監が変わることで警視庁内の体制が変わることは珍しいことではなく、
それは、上層部だけでなく組織内の人間全てに何らかの影響を及ぼすもの。
風見は、警視庁公安部の人間として、
2ヶ月先の来年度以降の体制について、気にしているのだ。

しかし、降谷とて、
次期警視総監の情報という機密情報が耳に入るような立場であるはずもなく。

華麗なる壁ドン_3→←華麗なる壁ドン

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す