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埃っぽい部屋の中で_9 ページ21

「何度も言うが、事情を聞いているのはこちらなんだ。
君の勝手な推論で――」

『"何度も言いますが”、一方的に振り回されるのは不快です』


降谷の言葉を遮り、
そして彼の言葉を借りるようにして反論したA。
物理的に、その間に挟まれている状況の風見は、
立ち上がったまま無意識に小さく息を飲みこんだ。


『踏み込んで、捜査内容を聞き出そうなんてそんなつもりはないわ。
でも、私は小野田の事件の容疑者なのよ。巻き込んだのは貴方たちよね。
それに、…3年前のあの事件なら、捜査に直接関わった刑事よ』


納得させていたつもりが、
もやもやと払拭しきれずにいた苛立ちが優ってきたようで、
Aは声のトーンを少し上げて降谷を見据えて言葉を投げつけ、
最後に、


『一応これでも元刑事なのよ。
…あまり都合よく振り回されるのは、――不快よ』


と、告げた。



その言葉に、
誰にも分からないほどに、
わずかに、わずかにピクリと睫毛を動かした降谷。

ほんの少し、
その目が細められ、その表情がどこか苦しそうなものに感じた気がして、
Aは複雑そうに少し言葉を途切らせた。



『...取り調べは、これで終わりですか?』

「…こちらは何も言っていない。
君はすぐにでも帰りそうな体勢に見えるが」

『面倒な言い回しは結構です』


それでも、Aの苛立ちがそう簡単に払拭されるわけでもなく。

やはり口喧嘩のような2人の言葉のやりとりに、
眉を歪めた風見。
しかしながら降谷の方を振り返る勇気はないようで、
葛藤している様子のAの表情を気にかけるように、
消え入りそうなため息をついた。




『…誰かに見られるかもしれないことを考えれば、
長居はしない方がいいでしょう?』

「「…」」

『では、私はこれで』



返事を待つ様子は微塵も見せず、
スタスタと部屋の入り口へと向かったAは、
念の為そっとドアを開くと、
周囲に誰もいないことを確認し、その場を去って行った。

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white12(プロフ) - ra -ra さん» 嬉しいコメントありがとうございます。更新頻度がまちまちで,また,お目汚しの多い作品となりお恥ずかしいですが,今後もお楽しみ頂けると嬉しいです。 (2021年2月22日 20時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra -ra - 初めまして!この小説凄く良いです! (2021年2月21日 13時) (レス) id: 4001d860f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2021年2月19日 20時

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