上書きされた違和感 ページ3
そして、数日後の事務官室。
「あの、水瀬さん――」
『どうかした？』
「今朝メールで送ってもらった書類なんですけど、
ここ、入力が間違っているようなんですが…」
“え？”と慌てた様子で書類を受け取ったA。
彼女の目の前でほんの少し申し訳なさそうな顔をしているのは、椎名だった。
こんなことは珍しく、手早く修正しているAの姿をじっと見つめる椎名。
以前からそう感じる場面は何度もあったのだが、
ここ最近は特に、複雑な表情を浮かべ、
鋭い雰囲気を纏っている姿を見かけることが多いように感じていた。
(…警視庁前のあの事件も、それに…この間の弁護士事務所の事件。
不穏な事件が続いているからな…)
元刑事だったこともあり、神経を尖らせてしまうのは無理もないことだろう。
もしかすると警視庁を辞めた何らかの過去も関係しているのかもしれない、
と、心の隅で椎名はAを心配していた。
そして、夕方になり。
『お疲れ様です。お先に失礼します』
「あ…、お疲れ様です！」
「お疲れ様です」
サヤカや椎名を含め、まだ何人か作業を続けている事務官たちに向かって挨拶をし、
コートを羽織ったAは、事務官室を後にした。
「…」
「…」
何も言わず、視線を交えた椎名とサヤカ。
椎名は眉を寄せ、サヤカは首を傾げていて。
おそらく互いに感じていることは同じなのだろうと、
2人は複雑そうに小さく口元を歪めていた。
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white12(プロフ) - ra -ra さん» 嬉しいコメントありがとうございます。更新頻度がまちまちで，また，お目汚しの多い作品となりお恥ずかしいですが，今後もお楽しみ頂けると嬉しいです。 (2021年2月22日 20時) (
レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra -ra - 初めまして!この小説凄く良いです! (2021年2月21日 13時) (レス) id: 4001d860f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2021年2月19日 20時
