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埃っぽい部屋の中で_8 ページ20

言葉通り、一つの推測に過ぎないことを口にしただけだったが、
風見の表情からそれは確実に当たらずとも遠からず、といったところだと、Aは理解した。

公安警察、
そして公安部の他の人間に預かり知らぬところで勝手な行動をしているのだとすれば、
納得もいく。

泳がせるつもりで情報を伝え、
その一方で、行動を監視する人間が足りないということだったのかもしれない。
すぐにでも事情を聞かねばならないのっぴきならない状況になり、
ここに連れて来られたのかもしれないが、
その割には風見も降谷もそれほどに焦った様子は見られず、
表情の裏を伺うようにして2人を交互に見つめたA。


『…この写真の男は誰ですか』

「聞きたいことは1つじゃ無かったのか」

『…』


既に1つでは無くなっているAの問いに、
降谷がピシャリと鋭い言葉を投げた。


当時の公安の捜査に何らかの問題があった。
その可能性については、風見も降谷もただ黙ってAを見据えただけで、
Aもまた、やはりその返答を貰うつもりもないようだった。

写真の男についても然りだった。

Aには見覚えのない人物であることは事実。
しかし、今しがた行われた取り調べの内容と、降谷や風見の態度から、
小野田の事件の関わりのある人物なのか、
あるいは、先日の立てこもり事件の犯人、
もしくは3年前になるあの事件と関わりのある人物か、
などと推測を巡らせていた。


「”ただの推察”をもとに、
いかにも論理立てて話しているようだが、
その推理にはいくつもの仮定と穴があることくらい、分かってるんだろう?」

『それはもちろん。
ただ、必ずしも間違っているとも思っていませんけど。
…貴方の不可解な行動、それに、風見さんの態度からも』

「「…」」


降谷の表情がほんの少し動いた。
さらに険しいものになった眉間とその鋭い目は、
Aには見えているものの、
それを注がれている当人である風見にとっては幸い、”背中越し”だ。

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white12(プロフ) - ra -ra さん» 嬉しいコメントありがとうございます。更新頻度がまちまちで,また,お目汚しの多い作品となりお恥ずかしいですが,今後もお楽しみ頂けると嬉しいです。 (2021年2月22日 20時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra -ra - 初めまして!この小説凄く良いです! (2021年2月21日 13時) (レス) id: 4001d860f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2021年2月19日 20時

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