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埃っぽい部屋の中で_5 ページ17

『この写真の人物とは別に、
1つ、こちらからお聞きしても良いでしょうか』



「…」
「…何だ」


Aの言葉に、
キャビネットにもたれかけていた背を浮かせ、
軽く一歩机の方に近づいた降谷。


『小野田の件、
…私を潜入捜査に巻き込んだことは、降谷さんの独断ですか?』

「…」
「…」

『小野田と私が、
あの事件以前に何度か接触があったことを、
それは貴方たちの指示だったことを、
上層部や公安部の別の人間に知られてはマズい理由でもあったんでしょうか』


ゆらり、と首を動かして、
周囲を眺めたA。
つまり、こんなところに連れてきた理由を問うていることを理解するのは、
降谷にとっては容易かった。
風見は少々苦々しい顔をして、考えを巡らせているようでもあるが。


「そんなヘマをすると思われていたなら心外だな。
それは君の勝手な推測だ」

『だとしても――』


軽く顎を上げて、少し威嚇するような姿勢でAを見下ろした降谷。
しかし、身長差ゆえ見下ろされるのは慣れていて、
そんなことで怯むAではない。


『この取り調べは、貴方たちの独断ですよね。
おそらく、この間降谷さんが私に情報を与えにきたのも』

「「…」」

『もしかして…』


ふぅと細く長い息を吐き出した後、
深みのある声で呟くように、


『2年前...いえ、もう、3年前になりますね。あの事件。もしくはそれまでの公安の捜査に何か問題でもありましたか』


と、Aが問いかけた。


鋭くなった彼女の視線の先で、険しい表情のままの降谷。
しかし、風見はピクリとわずかに眉を動かした。


Aにとっては先輩なのだが、
風見を嗜めるかのように苦い顔をしたA。

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white12(プロフ) - ra -ra さん» 嬉しいコメントありがとうございます。更新頻度がまちまちで,また,お目汚しの多い作品となりお恥ずかしいですが,今後もお楽しみ頂けると嬉しいです。 (2021年2月22日 20時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra -ra - 初めまして!この小説凄く良いです! (2021年2月21日 13時) (レス) id: 4001d860f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2021年2月19日 20時

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