甘い ページ16
蹴り飛ばした自身の銃は、
未だ、反対側の部屋の隅に転がっている。
今、Aが手にしているのは一ノ瀬の銃だ。
“きっと、そっちで必要になると思いますから”
そう言って、今朝、一ノ瀬が預けてくれた銃だ。
『絶対、ここから出てこないで下さいね』
小声で、五十嵐に伝えると、
サッと身体を動かし、男に発砲するA。
パァ…ン!!
ピシュ…ン!!!
そう広くはない事務所だ。
銃撃戦には到底向かない。
しかし――。
『…足が使えないって、結構不自由ね…』
到底、この場にそぐわないセリフを呟き、
またも転がるようにして男の銃弾を避けたA。
そして、瞬時に、デスクの上にあった花瓶を手に取ると、
男目掛けて思い切り投げつけた。
「…っ…」
ピシュ…ン!
とっさに、その花瓶に、
ピシュ…ン!
そして、その向こうのAに発砲した男。
その身体からは、割れた花瓶から飛び散った水が滴っていた。
『やっぱり、甘いわね』
「…ずいぶんと余裕ですね」
『左足を撃っただけじゃ、逃げられるんじゃない?』
距離を保ったまま、男の銃弾を避けていたAは、
銃を手に、よろりと立ち上がった。
「…」
そして、左足を引きずりながら男の方へ近づくA。
鬼気迫る表情で。
何を血迷ったか、とでも言うような表情でも浮かべるのがセオリーな場面だが、
男は特に表情を変えず、銃の引き金に当てたままの人差し指に力を入れた。
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white12(プロフ) - 開設しましたらお知らせしますね!ぜひ、高さんが描いて下さった夢主ちゃんを見てみたいです! (2020年2月16日 12時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - 高さん» コメントありがとうございます。な...なんと、そんな嬉しいことがあって良いのでしょうか...。本作を読んで頂けているだけでも嬉しいのに、イラストを描いて下さったなんて本当に嬉しいです!実はtwitterはやっていないのですが、この機に...とも考えておりまして。 (2020年2月16日 12時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
高(プロフ) - 夢主さんのイラスト勝手に書かせていただきました笑作者様見ていただきたいんですけどツイッターはやってないですか? (2020年2月16日 12時) (レス) id: 9e0ac4ae00 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - fujizakuraさん» 本作をお読みいただきありがとうございます。公開が遅くなり申し訳ありません。(8)は既に公開済みですので、引き続きお楽しみ頂けますと幸いです。 (2020年1月31日 14時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
fujizakura(プロフ) - 【8】がパスワードがかかっていて見れません (2020年1月30日 17時) (レス) id: 21ccb35895 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2020年1月20日 8時