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いつもと違う ページ36

あの事件から1週間ほどが経ったある日。


サヤカは、
書類の入ったファイルを抱えて、
警察庁のロビーでエレベーターの到着を待っていた。


他の部署への用事で、
隣の建物に行っていたところなのだ。
警察庁の周囲は普段とそこまで変わりはないのだが、
通勤中に車内から目にする警視庁周囲は、
立ち入り規制のビニールテープがつい先日まで貼られていて、
あの事件以降、表に立つ警官と警備員の数が増やされ、
普段以上に物々しい雰囲気になっていた。


「…」


数字が減っていくエレベーター上の電光版をぼんやりと見つめるサヤカ。
心配しているのは、Aの怪我のことだった。



そして、

「…?」

ふと、隣…と言えるほどの距離ではないのだが、
誰かの影を感じ、顔を向けたサヤカは、
“あ”、と、小さな声を上げかけた。

影を感じるはずだ。

それは随分と背の高い人物で。



反射的に丁寧に会釈をした相手は、
降谷だった。



「…あ、あぁ。君か」

「お疲れ様です」


事務官として染み付いているその綺麗な所作で、
いつもどおりの挨拶をするサヤカ。
降谷は、敢えて彼女の隣に並んだというわけでもないようで。
どうやらエレベーターを待っているだけのようだった。

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作者名:white12 | 作成日時:2021年1月7日 18時

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