木枯らしを切り裂くような_3 ページ27
直後、男に向かって走り出したA。
早朝だ。
この時間に登庁するのはおそらく事務員がほとんどだろう。
男を拘束しようと近づいた先ほどの男は、
もしかすると警察学校を卒業したものだったのかも…しれないが。
警視庁前の警備員がかけつけても良いはずだと思いつつも、
そんなことを考えている暇はない。
ゆらりと男が動いた瞬間、
その手のナイフがキラリと光った。
Aの気配に気付いたのだろう。
バッと振り向いた男が振りかざしてきたナイフをかわし、
距離を詰め、腕を取り押さえナイフを叩き落としたA。
男の表情は無表情のような静かなもので。
一瞬、気味の悪い感覚を覚えながら、
男の腕を捻り上げようとしたAだが――、
『…くっ――』
腹に蹴りをくらい、
掴んでいた腕が離れてしまい、表情をさらに険しくした。
両手を構え、
男と対峙するAは息を乱したまま、
その手は小さく震えていた。
男を見据えるAの横目には、
先ほど倒れた男性を含め、
血を流して地面に座り込んだ被害者の姿がわずかに映っていて。
しかし、足を竦ませている場合ではなく、
男の足を目掛けて蹴りを入れようとした時、
『っ…!!』
すぐさま男がポケットに手を入れたと思えば、
振り下ろされたのはナイフ。
先ほどとは違う形状の、
バタフライナイフだった。
『…何本持ってんのよ』
ナイフを交わした瞬間、
コートを赤に染めて倒れたままの女性が視界に入り、
一瞬怯みそうになるも、
男の間合いに入ろうと、
振り下ろされるナイフをかわしながら男との距離を詰めるA。
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作者名:white12 | 作成日時:2021年1月7日 18時