SNOW DROP II (6)【名探偵コナン/警察学校組】

揺さぶり ページ5

「おい、春宮。昨日一課で――」

『すみません。中森警部。
こちらはこちらで調べるべきかと思いますので、川端の事件現場へ行ってきます。』

「あ、ちょっと待て――」


翌日の捜査二課。

制止するように呼び止める中森の声に耳を傾けることなく二課を出て行くAを、
焦った様子で追いかける一ノ瀬。
この光景を見飽きた他の二課のメンバーは、何も気にしない様子で捜査資料を眺めていた。



『解析映像、助かったわ。さすが、早いわね』

「い、いえ。あの、昨日、一課で…大丈夫でしたか？」

『別に。気にしないで良いわ。』


Aの車の助手席に乗り込み、
心配そうに隣に視線を送る一ノ瀬。
当のAは平然とハンドルを握っている。


『それと、あれから私も調べたけど…、
五十嵐が月に一度送金していた”Rヒ”という口座、2年前に送金が打ち切られたのかと思ったけど、
やっぱり口座を変えただけだったみたいね。間にペーパーカンパニーをかませて。』

「やはりそっちもマネーロンダリングですか」

『当初は長く続けるつもりがなかったのかも。4年ほど前から送金が始まってたみたいだけど、
最初は不定期な時期もあったしね。』

「…なるほど」

『…ちょっと追跡に手間取ったけど、
あなたが解析したATM付近の防犯カメラに映ってた人物と同じ人物が金を引き出していたみたいだし、
間違いないわ。』

「…なんかもう、警部に黙っておきます、って言うのも変な話ですよね」


明らかにハッキングしただろうAの話に、
一ノ瀬が苦笑いをした。
捜査にかこつけて、別視点から映像を解析しているという、彼は彼で反則スレスレのことをしているわけだが。


「…もしかして、東堂のとこに向かってます？」


東都タワーの方向とは違う道へハンドルを切るAに問いかける一ノ瀬。


『…さぁね。』

「…もしかして」



警視庁からさほど離れていない場所。
ものの数分でスピードを落とした車の中で、一ノ瀬がもう一度苦笑いを浮かべた。

停まった車の前に見えるのは、議員会館だ。
国会議員の事務室が設置されている場所で、既に国会議員となって3ヶ月が経つ五十嵐の事務室も、
当然ここに設置されている。

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