鋭い人_2 ページ35
「それに、あの喫茶店の、梓さんっていう店員さんも。』
「…梓さん？」
『前に、聞かれたのよ。
…貴方と知り合いなのかって。』
「知り合いって…、貴方とはポアロで会ってますし。梓さんも」
『…そういう意味じゃないって、言おうとしてたみたいだったわよ』
「…」
『”貴方”がどういう人なのか、私は知らないから。
ただの勘違いなのに、ね。
…でも、鋭い人が多そうね。”安室さん”の周りには。』
「…まぁ、一応…探偵をしているので、そういう人は周りには多いかも――」
『それじゃ、私はやることが山積みだから。
…明日は”よろしく”』
「…えぇ。でも――」
『こちらはこちらでやるから。ご心配なく』
先ほど、”二課の捜査状況など配慮するつもりはない”と言われたことを思い出し、
先回りするように言葉を吐くA。
配慮してもらうつもりなどない、と言うように。
『それじゃ』
もう一度短く告げ、安室に視線を合わせず路地裏を去るA。
そして、安室はさりげなくエプロンのポケットに手を入れ、
”それ”を確認した。
(…USB…か。)
去り際、Aがポケットに忍ばせたものだ。
何も口にしてはいなかったが、
輪廻のヒカリ、あるいは、五十嵐、東堂、彼らの何らかの情報ということだろうと、瞬時に理解する安室。
去っていくAの姿を、ほんの少し目を細めて見つめていた安室は、
「…あまりサボってると、梓さんに叱られるな」
と、呟くと、ポアロへと足早に戻っていったのだった。
(…おそらく、輪廻のヒカリだけじゃなく、五十嵐の事務所”にも”、公安の人間が入るはず。
…彼らを取り押さえたとして、やっぱり物証を消されないように押さえておく必要がある。
…こっちは、まずは防犯カメラとセキュリティを掌握して――)
路地裏を離れ、
到底口に出せない事柄を次々と浮かべ、思考を回転させながら、
路地に止めた自身の車へ向かうAは、
カバンから取り出したスマホを操作すると、
『一ノ瀬。明日の15時に踏み込むわよ。…至急、警部に伝えて』
と、短く告げた。
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white12(プロフ) - いずみんさん» 嬉しいコメントありがとうございます！更新頻度はややマチマチですが、ご容赦ください。今後もお楽しみ頂けたら幸いです。 (2020年1月15日 19時) (
レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
いずみん(プロフ) - 続きが気になります！更新頑張ってください (2020年1月14日 21時) (レス) id: 37077eec40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2020年1月12日 18時
