密会と煩悩_5 ページ30
公安だけじゃなく、一課と二課が動くことは、
秘密裏に動く公安にとってはどうだか知らないが、
警察組織にとっては、プラスなはずだ。
“公安警察ゼロ”の降谷がどう考えているかは――、
今のAに分かるはずもないのだが。
「…”何か用？”か。
…それはこっちのセリフだ。」
『出来れば…明日にして欲しいんだけど。
最低でも、明後日に。
貴方がここにいるってことは、”今日”じゃないんでしょうから』
「…公安に乗り込んだらしいな」
『こっちはウダウダやってる時間…ないの。
一課がメインで関わってる事件よ。
…本質はずいぶん複雑で…かなり危ない組織が関わっていたみたいだけど…』
9日前。
一課の目暮警部に示した、”あと10日待ってください”という期限。
未だ一課が動いていないことから、約束は守ってくれているようだった。
10日、というのは、それまでに必ずあの怪しい銀行口座の情報と金の動きを掴んでみせる、という、
根拠のない期限だったが、
Aが刺されたことで4日をロスしてしまい、明日でその期限が来てしまうのだ。
しかし、不謹慎ではあるが、怪我の功名とでも言うべきか。
Aが刺されたことで、五十嵐との繋がりのある組織が自ら姿を現したのも事実だ。
「明日の午後だ。…15時」
『…了解。』
誰にも聞こえない程度の声。
それは安室もまた同じ。
そして、それらを聞き取るには必然的に顔を寄せる必要がある訳で。
身長差のあるAと安室では、
彼の方がAに顔を近づけるような体勢になる。
そういうことは慣れている”降谷”は、無意識にそれをやってのけており、
Aもまた、今の状況で追い続けてきた目の前の事件以外のことは頭には無かった。
脳内にあるのはただ、
彼らを、
新たに浮上してきた公安の的である輪廻のヒカリを、捕らえること。
その裏にある闇を、真実を、明るみに出すことだ。
はたからみれば
Aと安室が、人気のない路地で向かい合い、
身体を寄せ、顔を寄せ、抱き合っているような状況。
それは、まるで、背の高い彼がキスでも迫っているかのような体勢で。
文字通り、密会と言える状況だ。
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white12(プロフ) - いずみんさん» 嬉しいコメントありがとうございます！更新頻度はややマチマチですが、ご容赦ください。今後もお楽しみ頂けたら幸いです。 (2020年1月15日 19時) (
レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
いずみん(プロフ) - 続きが気になります！更新頑張ってください (2020年1月14日 21時) (レス) id: 37077eec40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2020年1月12日 18時
