密会と煩悩_3 ページ28
その10分後。
『…今日いるとは限らないけど』
Aが訪れたのは米花町だ。
喫茶店ポアロ――、の少し先の路地。
腕時計に視線を落とすと、10時を指している。
ポアロからは光が漏れており、開いていることは確実なのだが、
目当ての人物がいるとは限らない。
とはいえ、店の中に入るつもりはない。
近々公安が動くつもりなら、こんなところにいる可能性の方が低いのだ。
ただ、警察庁よりは接触しやすいポアロに、先に訪れたというだけだ。
『…』
そうすること15分。
チリン…という微かな鈴の音とともに、ポアロのドアが内側から開いたと思うと、
中から、客が現れた。
何やら見覚えのある女の子と、その足元には1人の男の子。
(…確か、蘭姉ちゃんって呼ばれてた子と…、コナンって子ね。)
今日は土曜日だ。
喫茶店にいるのはおかしくないのだが…、
このあたりに住んでるのかしら、などと考えるAは、
彼らを見送るようにしてドアから顔を出した店員に目を留めた。
――安室だ。
「安室さん、レモンパイごちそうさまでした。
すみません、ご馳走になってしまって…」
「いえいえ。ちょっとアレンジしてみたので、僕も試食して貰えて良かったです」
「すーっごく美味しかったよ！また食べにくるね！」
ポアロから見て死角に近い路地の角に隠れていたAは、
蘭とコナンにニコやかな笑みを向ける安室に気づかないふりをして、歩き出した。
ポアロの方へ。
「あ、…春宮刑事！」
「あ…確か、捜査二課の春宮刑事、でしたよね？前に、引ったくりがあった時にお会いした――」
『おはようございます』
Aは、安室には視線を向けず、
蘭とコナンに小さく笑みを向けた。
安室もまた視線を合わせることなく軽く会釈するだけで、Aの腹部あたりに目を向けていた。
数日前、警察病院のベッドで横たわっていた人物だ。
当然、怪我の心配をしているのだろう。
『朝から喫茶店で食事？』
「は、はい。時々、ここで朝食を。ポアロのモーニング、すっごく美味しくて…」
“ね、コナンくん”、とコナンに笑いかける蘭に、Aはふわりと笑った。
しかし、あからさまに安室に視線を向けない彼女に、
そして同じく何も口を開かない安室に、コナンは小さな違和感を覚えた。
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white12(プロフ) - いずみんさん» 嬉しいコメントありがとうございます！更新頻度はややマチマチですが、ご容赦ください。今後もお楽しみ頂けたら幸いです。 (2020年1月15日 19時) (
レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
いずみん(プロフ) - 続きが気になります！更新頑張ってください (2020年1月14日 21時) (レス) id: 37077eec40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2020年1月12日 18時
