検索窓
今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:103,166 hit

耳打ちされた指示_2 ページ13

「…あれ、あの人…」


そして、その直後の警察病院の2F。
Aの病室があるフロアで怪訝な表情を浮かべているのは、
捜査帰りに立ち寄った一ノ瀬だ。
フロアの奥の方に、見たことのあるような人物を目にしたからだ。


「前に聞き込みに行った、米花町の喫茶店の店員…だよな…?」


何故こんなところに。
病室に知り合いでもいるのか。
あるいは、見間違いか。


不思議そうな顔をするも、今はそれどころではない。
一ノ瀬はそれ以上は気にすることなく、
Aの病室へと足を進めた。




「…」




控えめにドアを開けた一ノ瀬は、目を見開いたまま固まった。
今朝までベッドで目を閉じたままだったAが、
上半身を起こしていたからだ。

そして何より、
手に刺さった点滴の針を、何やら外そうと――していたからだ。


「ちょ、ちょっと春宮さん…!!」

『あ、一ノ瀬』

「”あ、一ノ瀬”じゃないですよ!何やってんですか!」


先ほど、降谷が来た時は警戒心全開だったAだが、
一ノ瀬がドアを開けたところで、何の警戒心もない様子だ。
それもそのはず。
長年バディを組んでいる彼の足音を聞き分けることなど、造作もないことなのだから。


『…何って、退院しようと思って』

「退院って…、それ、自分で決めるもんじゃないでしょ!?」

『だから、これから医師に話をしにいこうと思って。
これ、あったら邪魔だから』

「あのですね!ナースコールって存在、知ってますか!?」

『あ…そっか』

「生死を彷徨ったって…、分かってるんですか!?」


Aの肩を掴もうとするも、
さすがに怪我に響くと思ったのか。
その身体に触れるすんでのところで手を止め、
怒鳴るようにして彼女に言葉を浴びせる一ノ瀬。



『…悪かったわ。』

「…え」

『ごめん。』

「…」


そして、ポツリと謝罪の言葉を投げかけられ、
一ノ瀬は複雑そうに顔を歪めた。


『確かに、川端が殺 されたことを考えれば、
私も命を狙われる可能性をちゃんと考えておくべきだった。』

「…そう、じゃなくて」

『で?』

「…は?」


Aの行動を叱りつけたものの、
その無事に、
彼女の謝罪の言葉に、
安堵したのか泣きそうになっていた一ノ瀬だが、
投げかけられた1文字に、素っ頓狂な声をあげた。

耳打ちされた指示_3→←耳打ちされた指示



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (61 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
115人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

white12(プロフ) - いずみんさん» 嬉しいコメントありがとうございます!更新頻度はややマチマチですが、ご容赦ください。今後もお楽しみ頂けたら幸いです。 (2020年1月15日 19時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
いずみん(プロフ) - 続きが気になります!更新頑張ってください (2020年1月14日 21時) (レス) id: 37077eec40 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:white12 | 作成日時:2020年1月12日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。