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翌日。
「川端 祐樹 (かわばた ゆうき)。 緑台在住、32歳無職の男だ。
死亡推定時刻は、2日前未明の午前1時から3時頃。何者かに腹部を刺されたらしい。」
『…』
二課の一角にあるホワイトボードに貼られた写真。
そこに書き出された男の情報を睨みつけるA。
『…免許証でも持っていたってことですか。
物取りの犯行の可能性、と聞いていますが』
「…財布、携帯は所持していなかったそうだが、クレジットカードの使用履歴から辿ったらしい」
『カード?』
「あの付近のコンビニを利用していたそうだ。
被害者はその店でカードを使ったらしい。…で、足が付いたってところだ。
二課に入ってきた情報はそれだけだ。」
中森から告げられた、
一課の”正当な捜査”から得られた証拠に、
Aは険しい表情でホワイトボードを睨んでいた。
『…一課に行ってきます』
「昨日、一ノ瀬に止められたはずだろうが」
昨日、電話を貰いすぐに警視庁へ戻ったAは、
殺人事件を扱う部署である一課へ乗り込むようにして事情を聞きに行ったところを、
一ノ瀬に制止されていた。
目暮警部の目の前で、”いま問題を起こすと、今後動けなくなるかもしれません”と、彼に苦しげな声で耳打ちされたAは、渋々二課へと戻ったのだった。
その行動は、既に中森に知られていた。
一課と二課は、あまり仲の良い部署ではない。
Aは以前にも、一課の取調室へ乗り込み犯人に詰め寄ろうとしたところを、
佐藤や高木に制止されている。
中森は中森で、一課から何か情報を貰うなど、
やや不本意な状況ではあったが、
情報共有は必要なはずだというAに、睨みつけんばかりに見据えられ、
ホワイトボードに書かれた最低限の情報を、正式に聞き出しに行った訳だ。
『この男は、二課のヤマの重要参考人です。
現に4日前。声をかけた私から逃げています。
海浜公園近くでどこに電話をかけていたのかと聞かれて、明らかに顔色が変わりました。
やはり一課に――』
「良いから落ち着け!」
『…』
食ってかかるように中森に詰め寄るAを、
一ノ瀬や他の二課の刑事が眉をひそめて見つめていた。
中森は、東堂や五十嵐のことを調べているわけじゃないが、二課のヤマだというのも事実。
苦々しい顔をしてAをたしなめるように見つめる中森。
Aにとっては、情報が開示されない他の部署で捜査が進められることなど、
黙ってられるはずもなかった。
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white12(プロフ) - いずみんさん» 嬉しいコメントありがとうございます!更新頻度はややマチマチですが、ご容赦ください。今後もお楽しみ頂けたら幸いです。 (2020年1月15日 19時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
いずみん(プロフ) - 続きが気になります!更新頑張ってください (2020年1月14日 21時) (レス) id: 37077eec40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2020年1月12日 18時