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桜_3 ページ8

「おーい!あっちの方、場所空いたみたいだぞ!早くサッカーしようぜ!!」


そして、同じく駆けてきたのは、
前にも見たような、かなり体格の良い男の子だ。


「あ!元太くん!ごめーん!」

「すぐ行きますね!じゃあ、お姉さん、失礼します!」

歩美ちゃんと光彦くんは、
元太くんと呼ばれた男の子と合流するように、公園の開けた芝生の方へと走っていった。


(…失礼しますって…、
ホント最近の子は、大人びてるなぁ…)


前にも思い浮かべたセリフを心の中で呟き、
苦笑いを浮かべるAは、再びスケッチブックに向かい合おうとしたのだが――、


『…』

「あ…」


ジーンズのポケットに手を入れながら、
正面からのんびりと歩いてきた人物を見て、
怪訝な表情を浮かべた。


「…今日も、絵描いてるのか?」

『そうだけど』

「…へぇ。やっぱり上手いもんだな」


少し気まずそうにしながらも、
ひょいっとスケッチブックを覗き込んだその人物は、
Aの描いた桜に、優しい表情を浮かべた。


『…あの子達とサッカーしに来たんじゃないの?“萩原さん”。』

「あぁ。まぁな」

『…怪我、治ったのね』


Aは、萩原に向けていた視線をふいっとスケッチブックに戻すと、
元気そうな彼に安堵したようなセリフを零した。


「…松田から聞いた」

『何を…?』

「この前の夜、俺のマンションの前まで来てたって。
…震えてたって」

『確かに、…ニュースを見て、爆弾で負傷したって聞いたから…、びっくりして。
ちょっと気になってマンションまで行ったけど、
…震えてたっていうのは気のせいよ』


視線を合わせず、強がりのような言葉を口にするAに、
萩原は複雑な表情を浮かべた。


そして、少し口を閉ざした後、
ため息のような吐息を零し、
いつの間にか自身の背からスケッチブックを覗き込んでいる萩原の方へ、
視線を向けるA。




『――それと』

「…何」

『ありがとう』

「…は?」



さっさと子ども達のところへ行けば?というような雰囲気だったが、
Aの口から出た言葉に、
萩原は、きょとんとした表情で固まった。

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設定タグ:名探偵コナン , 萩原研二 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時

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