Liar (3)【名探偵コナン】

桜 ページ6

そして、翌日の土曜日。

日差しが降り注ぐ良い天気にも関わらず、
Aは朝から自宅でノートPCを操作していた。


『…桜の花びらが散るデザインは、去年まで使ってた…このファイルか。
――でも、…』


ふと思いついたように、デスクのノートに何やら殴り書きを始めるA。
その手元には、桜のデザインがスラスラと描かれ始めた。


『…うん。カーソルを当てて、こんな風に…ふわっと桜が咲くイメージで――』

描いたデザインを見ながら、
ファイルをカタカタ作っていくA。

チラリと見えるメールの画面は、
仕事のメールが来ているだろうそれは、
――見ないフリをした。


『一部は、前のファイルを使って、
サブページもちょっと変えようかな。』


楽しそうに、サクサクとファイルを構築し、チェックしていくAだが、
ただ、時折ふっと複雑な表情を浮かべていた。

そうして、1時間ほどが過ぎ――、


『よし。完成。
今年の春は、このデザインにしよう』


更新するのは、自身のwebページだ。
Mistのハンドルネームで、時折ブログを書いている、あのページ。
Café Rainの店員、由紀が、楽しそうに褒めてくれた、あのページだ。

Aにとっては、
初心を思い出せる大事なものだったが、
今日はやはり、どこか複雑そうで。

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