鼓動_7 ページ47
「…”そういうこと”、で…良いんだよな?」
『…え?』
「だから、…俺と、付き合う…ってこと」
『…これまで…散々キスしておいて、…今更何言って――』
やはり、素直にYESの言葉を告げられないA。
しかし、もう一度。
ふわりと包み込まれるように、優しくその言葉を飲み込まれ、
身体の中から、少し苦しくて、暖かくて、言いようのない感覚が湧き上がってくるような、気がした。
愛おしそうに、やはりそれを味わうかのように自身の唇を包み込んだ萩原に、
柔らかく目を閉じるA。
ほんの少しの間重なったその温度が離れていくと、
真剣な表情の萩原と目が合い、Aは、ドキリと心臓を鳴らした。
ギラリ、と男の目を、感じたからだ。
「…もう、仕事終わり?」
『…え?』
「帰んのか?」
『そ、そう…だけど』
「…じゃ、行くか」
『…え?』
さらりとAの手を握る萩原は、
そのまま路地裏から離れ、自身の車を止めた道へと歩いていく。
握られた手は柔らかく、
ついさっき、引っ張られるようにして強引に掴まれたそれとは全く違った。
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white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時