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違ぇんだよ ページ1

「よぉ。」

「…松田か。今、捜査の帰りか?」

「あぁ。まぁな。」


遅い時間の訪問者を、
慣れた様子で部屋に招き入れる萩原。
その手首と頬には、ガーゼや包帯が巻かれていた。


「…アイツ、月島って、あの女に会ったぞ。」

「…は?」

「さっき、このマンションの前で見かけてな。
お前のこと、心配してたみてぇだったけどな」

「…え…嘘だろ」


まるで自分の家のようにドカッとソファに座る松田に、
萩原は驚いた様子で目を見開き、
“マンションの前”の方向に当たる、玄関の方に視線を向けた。


「こんな嘘ついてどうすんだよ。
ニュースでも報道されてただろ。お前が負傷したって」

「…そういやそうだったな…大したことねぇのにな」

「防護服着てたとはいえ、爆発の衝撃で怪我しちまうとはな。
…しくったな。萩」

「うるせぇよ…」


自身を見下ろすように、立ったままで文句を垂れる萩原に、
松田は、“まぁ、…無事で良かったけどな”と、小さく呟いた。


萩原の怪我は、
大規模では無かったとはいえ、爆弾解体中に起きた小規模な爆発の衝撃で、
近くの柱に体を打ち付けてしまったことによる怪我だった。
頬と手首、そして膝あたりに出血および捻挫を負った訳だが、
わざわざ報道されるほどではないと、萩原は複雑そうにため息をついた。


「…でも、ニュースで報じられてたからって、
…月島さんが何で俺って分かるんだよ」


名乗った覚えはないが、松田の言葉からか、
萩原という名前は知られていた。
しかし、刑事ではないというようなことを言った気がするが、
機動隊員などと話したことはもちろんない。


「俺が知るかよ。ただ、…米花デパートにいたんだと。あの日。
んで、機動隊の中にお前に似た奴を見たらしいぞ。
で、ニュースで”萩原”って名前を聞いて、もしかしたらってお前のことかもしれないと思ったとか言ってたな」

「…現場に、いたのか」


松田の言葉に、
何かを思い浮かべるように、心配そうな複雑な表情になる萩原。


「…アイツ、震えてたぞ」

「は…?」

「そこの道、前にあの女が襲われた場所のすぐ近くだろうが。
思い出したんじゃねぇのか?」

「…」


ハッとしたような素振りを見せた後、
やはり心配そうに、眉をひそめて視線を彷徨わせる萩原に、
松田が大きくため息をついた。

違ぇんだよ_2→



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設定タグ:名探偵コナン , 萩原研二 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時

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