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鼓動_2 ページ42

Aとは、あれから何度も顔を合わせ、ともに時間を過ごしている。
Barで、子どもたちと共に米花公園で、そして、Café Rainで。

連絡先も交わした間柄だ。
好きだと、互いにその言葉を交わし、唇を重ねた、間柄だ。
あの夜だけじゃなく。


しかし、未だ”付き合っている”という事実は、得られていなかった。
彼女は、自身の恋人なのか。
その事実が。


“いや。…やっぱり、萩がウダウダやってんの、珍しいなって思ってな。”


Aとともにこちらに近づいてくる松田の声が聞こえてきそうな気がした。
以前、投げかけられたセリフが。


そして、何やら松田と会話を交わしていたAは、
ふと、立ち止まったままの萩原に気づき、不思議そうな顔で彼に近づいた。


『…萩原?この辺りに来てたの?』

「よぉ。萩も、あの店に寄るところか?」

Aと、
そして、彼女の少し後ろから追いついてきた松田に声をかけられ、
少し不機嫌そうな、気まずそうな顔をする萩原。

「まぁ、な」


萩原は、Aのショートメールに返事はしていない。
店に行けば会える、と思っただけなのだから。


「じゃあな」

『あ、はい。お気をつけて』


ヒラヒラと右手を上げその場を去っていく松田に、
軽く会釈をするAだが、
その目の前の萩原は口を噤んだまま、眉を寄せていた。


『松田さんって、 菜々さんの恋人だったのね。
知らなかった』


去っていく松田を見つめながら、未だ口元を緩めて萩原に言葉を零すA。


『ちょっと怖そうな人だと思ってたけど、
菜々さんの前だと…、ずいぶん雰囲気違って…』


口調は悪いものの、柔らかな雰囲気で 菜々と言葉を交わしていた松田。
威圧感をまとう刑事の松田しか知らないAにとっては当然想像出来なかったもので。
彼と 菜々とのやりとりを思い出しながらふわりと表情を緩めるAに、
萩原がちらりと視線を向けた。

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設定タグ:名探偵コナン , 萩原研二 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時

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