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安堵とため息 ページ4

3日後。

ちらほらと桜が咲き始め、
辺りは華やかな色に染まりつつある中、
爆弾事件のせいで不安を隠しきれずにいたAは、
ようやく安堵したように、大きな息を吐いた。


昼休み。
Corsoの休憩室でサンドイッチを頬張りながら、
ちらりと目にしたネットニュースに、

“米花デパート 爆弾事件の犯人逮捕”

と報じられていたからだ。

付近の防犯カメラの映像が決め手になったらしく、
以前逮捕された、
Aを襲った犯人とは関係のない、
模倣犯の可能性と書かれていた。



(…はぁ…次の事件が起こらなくて、良かった…)

考えたくなくても、
やはり、ふと考えてしまっていた連続的犯行になる可能性。
前の犯人のように。

それが消え去り、Aはもう一度大きく息を吐き出した。



「あ、月島くん。
ちょっと――」

デスクに戻ろうとしたAだったが、
廊下で出くわした部長に声をかけられ、
キリ、と表情を引き締めた。

『何かありましたでしょうか』

「あぁ。ちょっとね」

何やら歯切れの悪い言い方をする部長に付いていくA。

そして、デスクに座るなり、

「A社の担当、北川さんじゃなくなったそうだ」

とこぼされた部長の言葉に、Aは少し眉をひそめた。


『…そうですか』

「君、彼のことについて、色々僕にも言ってきてたからね。
どうせ、先方の上役にでも君が何か言ったんだろうとは思うんだが、
あまり――」

『…私は何もお伝えしていません。
取引でお話するのは、あくまで北川さんと、でした。』

「…まぁ、そう言うとは思ったけどね。
いずれにせよ、あまり女がでしゃばるのはオススメしないな。
纏まる話も纏まらなくなる。
とりあえずA社の取引は今後も君に任せるつもりだが、
またトラブルが起きるようなら担当を降りてもらう。
くれぐれも余計なことはしないように頼むよ」

椅子に深く腰掛ける部長に、ジロリと蔑むような視線を向けられ、
キツく奥歯を噛むA。
小さく、”はい”と返事をするものの、
内心では睨み返しているような心境だ。
あくまで、Aに非があるかのような、言葉に。



でも、正直、こんなことには慣れている。

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設定タグ:名探偵コナン , 萩原研二 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時

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