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Cafe Rain ページ22

1ヶ月半後。

夜勤後の萩原は、
警視庁入口の喫煙所で、時折欠伸を零しながらタバコをふかしていた。


「よぉ。萩」

「…松田か。」

「夜勤か?疲れた顔してんな」

「まぁな。終わってすぐ帰るつもりだったんだが、
まぁ…色々あってな」

「大変だな。副隊長さんは」


既に10時を回っている。
夜勤なら、勤務を終えてもうとっくに警視庁を出ている時刻だ。

皮肉めいた言葉を零しながら、タバコに火をつける松田。
サングラスをかけ、タバコをふかしている姿は、
なかなかに威圧感のある人物だ。


「…それ、何だ?」


松田の手元。
未だ、2つ折りのガラケーを愛用している親友が何やら口元を緩めて見ている小さな画面に、
萩原がちらりと視線を落とした。

「あぁ。 菜々がな。店のホームページ作ってんだと。」

「え? 菜々ちゃん、そんなこと出来んのか…。
確かに…、SNSのアカウントだけで、ホームページは無かったよな。」

「だから、軽々しく 菜々ちゃんとか呼ぶんじゃねぇよ。
…アイツが作ってんじゃねぇよ。アイツにそんなスキルはねぇだろ。
何か、誰かに頼んでるらしんだけどな」

「へぇ。」

「で、第三者の印象も聞きたいからって、
テストページってやつ、送ってきたんだよ。
…まぁ、俺はこういうのは詳しくねぇからって言ったんだがな」


サングラスをかけているとはいえ、
その声のトーンから、
わずかに緩む口元から、
松田の心境が容易に読み取れる萩原は、同じく口元を緩めて紫煙を吐き出した。


「…で?」

「は?」

「お前はどうなんだよ。
…あの、月島って女。かなり気にしてただろ」

「…別に、そんなんじゃねぇって言っただろ」

「…こないだ、交通課の女が騒いでたぞ」

「は?」

「飲みに誘っても、最近は萩に断られるってな。
前はよく行ってただろ。
女に誘われて断るって、お前にしちゃ”あり得ねぇ”だろ?」

「…別に、色々忙しいだけだって」


“へぇ”と、興味なさそうにそれ以上は追求しない松田。
Aのことを、何か聞いている訳でもない。

しかし、長年の付き合いだから、ということか。

捜査を抜きにすれば、
特にこういう話では、萩原のように勘が鋭い訳ではないが、
彼もまた、それなりには萩原の心境を察することができる訳で。


携帯のディスプレイを見つめながら静かにタバコを吸う松田は、
“じゃあな”、という言葉を残し喫煙所を去って行った萩原を、
困ったように小さく首を傾げて見つめていた。

Cafe Rain_2→←認めるしかないだろ。_8



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設定タグ:名探偵コナン , 萩原研二 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時

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