よそよそしい_3 ページ33
『この間、伝え忘れてしまってたから。』
「…」
『あの男から助けてくれて…ありがとう、ございました。』
頭を下げて、何やら丁寧にお礼を口にするAを見つめながら、
萩原は少しずつ眉をひそめるように、困った顔を浮かべた。
『それと、病院の先生から言われたの。
…止血されていなかったら、出血が多くてもっと酷いことになってただろうって。
あの時、腕、掴んでくれてたでしょ。
ありがとう…、ございました。』
Aは、まるでビジネスの相手に伝えるかのように、
丁寧にお礼の言葉を述べた。
「…いや…、…別に俺は。」
『…警察官だから当然なのかもしれないけど、
だからって、お礼を言わなくて良いと言うのは違うでしょ?』
“だから、ありがとうございました”、と続け、
その場を去ろうとするAに、萩原がとっさに口を開いた。
「ちょ、ちょっと、また歩いて帰るつもりか?」
『ちゃんと電車で帰るから、心配しないで。』
“お巡りさん”、とでも続けて口にしそうな雰囲気で、
Aは軽くお辞儀をすると、駅の方へと歩いて行った。
「…何なんだよ。」
その場を去るAを見つめながら、
くしゃりと顔を歪める萩原。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月5日 19時