止血_3 ページ15
ゾワリとした悪寒とともに、
何故か止まりかける足。
(…逃げ、なきゃ…)
本能がそう叫んでいる。
しかし、それとは裏腹に、
恐怖にすくんだ足はうまく動いてくれない。
手元の受話器から、
男性警官の声が聞こえている気がしたが、
通話など出来る余裕もなく。
そして、何とか走り出そうとしたAだったが、
『…や…っ…』
感じる大きな恐怖と、
背中の痛み。
走るように近づいてきたその人物に、肩を掴まれ、
路上に押し倒されたのだ。
『…だ、誰か…助けて…!』
文字通り襲われている自身の状況に、
口を開くも、その声は心もとなく。
そして、もう遅い時間だ。
コンビニのある路地とは数本離れたこの道には、
周囲を歩く人はほとんどいない。
必然的に自身の目に映る、目の前の人物に、
その恐怖は一層濃さを増した。
若者だ。
若い男。
ニタニタと、気味悪い笑みを浮かべている。
そして、男がポケットから取り出したものに、
顔を引きつらせるA。
しかし、映画や小説で見るようなお約束の”それ”に、
こんな状況であるにも関わらず、
何故怪しい人物はこういうとき、
決まってナイフを取り出すのかしら。
などと、考えていた。
そもそも、あれが爆弾だったとは限らないのに。
こんなことをすれば、犯人だと言っているようなものなのに。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月5日 19時