Liar 【名探偵コナン】 (ページ9)

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立ち入り禁止_2 ページ9

『あ…あの、
そこのマンションの住民なんですけど…、入れないんですか？』

「あー悪ぃが、今は立ち入り禁止だ。」

Aが周囲にいた警察官らしき男に声をかけると、
”邪魔だ”と言わんばかりに、険しい顔で一蹴されてしまった。

黒いスーツに少しうねった黒髪。
顔立ちの良い人物だが、何やら態度の悪そうな男だ。
刑事、というやつだろうか。

「マンションの入口付近で不審物が見つかってな、調べている最中だ。悪ぃが、この辺りから避難――
…高木！コイツ、マンションの住民らしい。避難誘導頼んだぜ」

「は、はい！了解しました。」

目の前の男に顎で合図されるようにして、
高木、と呼ばれたヒョロっとしたスーツの男がAに近づくと、
目の前の男は走ってマンションの方へと向かっていった。

捜査一課の高木、と名乗った人物は、
先ほどの男とは違い、真剣な表情で状況を丁寧に説明してくれた。

「――という訳で、まだ不審物が何かを特定できていないことと、
万が一、危険なものだった場合に備えて、
付近住民の方には避難をお願いしています。
申し訳ありませんが、貴方もしばらくの間、避難をお願いします。」

『…分かりました』

不審物。
最悪の場合、爆弾や何らかの危険物ということ、だろう。
小説やドラマの知識しかないAだが、
自分がこういった場面に巻き込まれるとは。

まだ何か分からない、と言われていたが、
話している間に、ゾロゾロと現れたのは、いわゆる防護服というものを身にまとった数名の男たち。
機動隊員、だ。
防護服をまとった彼らの中に、見知った人物がいたことなど、
気づくはずもなく。

(…やっぱり危険物の可能性があるってこと…？)

11月間近の夜。
先ほど感じていた悪寒は、また別の恐怖にかき消され、
Aは不安そうな顔をして駅の方へと戻っていった。