Corso_2 ページ6
「あ、月島さん。ちょっと良いですか?
C社のホームページの案件の…このデザインなんですけど。
ここ、サブページへの移行リンクの部分が…」
『あれ、それは湯川くんの担当になったはずでしょ?』
「そうなんですけど、部長が月島さんにやって貰った方が良いんじゃないかって…。
ほら、月島さんのデザイン、クオリティ高いし。」
『…あのね。そういうことじゃないのよ?
もうちょっと、自分の仕事に誇り持って。大丈夫。湯川くんのデザインも凄く素敵だから。
何かあったら相談のるから、やってみて?』
ふわりと湧き上がる苛立ちを抑えるのにも慣れたものだ。
それを、ふわりとした笑顔に変えるのも。
困った表情をしていた湯川は、その言葉と笑顔に、
部長に言われただろう言葉を気にしながらも、
“はい!”と気持ちいい返事をしながら自身のデスクへ戻っていった。
20時過ぎ。
打ち合わせを終え、
A社の北川とその部下と、東都タワー近くのイタリアンレストランで夕食をともにし、
店を出るA。
『ありがとうございました』
「いやいや、こちらこそ。
月島さんとの食事は本当に楽しくて時間があっという間だよ」
『いえいえ。それでは、今日打ち合わせで確認させていただいた事項は、
また改めて――』
“ご連絡します”
という声は、少し引きつったものになった。
北川がAの肩に手を乗せ、撫でるような仕草をしたからだ。
ゾワリと悪寒を感じ、
少し引きつった笑顔でやんわりとその手を外すA。
奥歯を噛んで、笑顔を崩さないよう耐えている。
その内心の怒りは計り知れないのだが。
先ほどまで一緒にいた北川の部下の男性社員は、少し前に電話がかかってきて、
どうやら仕事上の急ぎの案件らしく帰ってしまったのだ。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月29日 22時