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身勝手な要求_4 ページ49

A社を後にし、Corsoに戻るため駅へ向かうAは、
隣を歩く湯川に、”ありがとう”と笑みを向けた。

「え、…俺、あの場にいただけですよ」

『ううん。それだけで良いの。
私1人で説明するより、…頭を下げるより、
もう1人いてくれた方がずっと効果があるから』

いわゆる、証人のようなものだ。
例え、理不尽な難癖をつけられても、
その場で聞いている人物が他にいれば、
そうそう身勝手なことも言えないはずだ。

「…なんか、あの人。言ってること矛盾してるっていうか…。
前にこの件お願いされた時、転送してもらったメールの依頼内容と言ってること違ってましたよね。」

『まぁ…、ちょっといまいち話がね…』

明確なことを口にはせず、苦笑いをするA。
今の案件以前、そして、今抱えている案件が立ち上がってからも、
1ヶ月ほど前までは、北川とは比較的スムーズに打ち合わせが進んでいた。

明らかに態度が変わったのは3週間近く前。
Aが毅然と断りの文句を告げてから。

といっても、ビジネスの相手であることは変わりなく。
先ほどの会話で、
また、失礼な態度を取られただの何だのと難癖をつけられる可能性も充分にあった訳だが、
A社にとってもウダウダと案件が進まないのは痛手だろう。
北川はA社の部長だが、
私情で、大きな案件を振り回せるほどの権限がある訳でもないはずだ。


Aは、
入社した頃のように、
営業に異動した頃のように、
やるべき仕事を、
それを進めるためにはどうすべきか、
それだけを考えていた。


「…それにしても寒いですね。」


はぁ、と手のひらに息を吹きかける湯川の先には、
バレンタインに向けたものか、
ハート型の装飾がいくつか見える。


(...バレンタイン、か。)


どこかキラキラと彩られた東都タワー付近の街を、
Aは少しだけスッキリした表情で駅へと向かったのだった。

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設定タグ:名探偵コナン , 萩原研二 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月29日 22時

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