レプリカ_3 ページ45
「黒いフードを被った怪しい人物…か」
「…あからさまに怪しいだろ。
確か、緑台の事件でも似た格好の奴が近くの防犯カメラに映ってたしな。」
「えぇ。松田くんが指摘したあの人物に、良く似た格好だったの。
ただ、どちらの現場もマンションの防犯カメラの死角になってるような場所に置かれていたし、
レプリカを置いている様子は確認できてない。
それに、映像に映っていたのは逃げていくような様子じゃなかったこともあって、
ただの偶然って可能性も充分にあるわ。
もちろん、参考人として今詳しく映像を調べてるところだけど」
松田のように今にも舌打ちを零しそうな勢いで顔をしかめた佐藤は、
萩原にお礼を告げると、険しい表情で一課のオフィスへ戻って行った。
「ん?松田は捜査、行かなくて良いのか?
片付け、あと俺がやっとくから」
「あぁ。悪ぃ。じゃあ、頼んだ」
手袋を外しながら足早に鑑識課を出ていく松田にチラリと視線を送ると、
萩原は再び目の前のレプリカに険しい表情を向けた。
その横にあるのは、透明な袋に入った状態の、
1ヶ月半前に緑台のマンション下に置かれていたレプリカだ。
(…素人でも情報が手に入る時代…だからな。
1ヶ月半ちょっとで急にここまで複雑になったレプリカ…。
まだ続くんじゃねぇだろうな…この事件…)
ただのイタズラか。
誰かを狙った犯行か。
あるいは、模倣的に楽しんでいる別々の人物か。
同一犯だとすれば、面白がっているようにも感じる萩原は、
ギリ…、と奥歯を噛み締めた。
思い返すのは、1ヶ月半前、最初にレプリカが置かれていたマンションだ。
自身の自宅ともさほど距離のない場所で起きたあの事件で、
付近の住民か、あのマンションの住民かは分からないが、
避難住民や警官で騒がしい中、
チラリとAの姿を見た気がした。
緑台のBarから共に歩いて帰宅した際、
といっても、ただ無言で歩いていただけなのだが、
萩原のマンションの先へ、歩いて帰って行ったA。
その方向は、やはり、事件のあったマンションの方向で。
(…まぁ、今回のは、ちょっと離れた場所だったしな。
意図も掴めてねぇみたいだし、
犯人が近くにいるかもしれねぇって考えんのは…ちょっと安直だな)
“捜査一課”の刑事である松田に笑われそうな安易な推測に、
小さく息を吐く萩原だったが、
その目は訝しげにレプリカを見つめたままだった。
122人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:white12 | 作成日時:2019年11月29日 22時