Liar 【名探偵コナン】 (ページ28)

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困ります。ページ28

翌日。
Corsoのデスクで、
珍しく大きなため息をついてスマホを眺めている A。

「月島さん？…えっと、どうかしたんですか？」

数枚の書類を手に近付いてきた湯川は、
いつもの笑顔が消えたAに、たじろぐ様子を見せた。

『…あ、ごめん。湯川くん。どうかした？』

「えっと…、昨日の会議で提案したこのデザインなんですけど――」

湯川に差し出された書類に目を通しながら、
思考を切り替えたAだったが、頭の隅から消えない悩みに、
小さく眉を寄せた。

度々一蹴されているものの、
今朝、意を決したように、もう一度部長の元へ、
北川の件を相談に行ったA。
取り合って貰えないことは重々承知だった。
念の為、と言う姿勢で、デスクに向かったのだ。

そして、やはり返ってきた言葉は、

“気のせいじゃないのか”
“心配してくれてるんじゃないのか”
“そういうつもりじゃなく、ただ元気付けようとしてくれてるだけかもしれないだろう”
“君も子供じゃないんだし、大人の対応も出来るだろう。
本当に嫌なら抵抗すれば良いんじゃないのか”

抵抗すれば、の件(くだり)は、
それで取引関係がダメになったら、お前のせいだ。
と言わんばかりのセリフだ。

予想していたとはいえ、
返ってきた部長の言葉に、Aは自嘲気味に笑いを零した。

「え…、月島さん、何か間違ってました？俺…」

『あ、ゴメンゴメン。そうじゃないの。こっちのデザインは凄く素敵だと思う。
ただ、こっちのは、デザイン自体は良いんだけど、操作性や使用者の立場を考えると分かりにくいかも。』

「…確かに、少し複雑すぎるかもしれませんね。
ありがとうございます。ちょっと練り直してみます！」

少し前までは自信がなさそうに相談してくることもあったが、
自分の案件という自覚が出てきたのか、
少し顔つきが変わったように感じる湯川に、Aは、ニコリと微笑んだ。