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杯戸町の喫茶店 ページ25

「いらっしゃいませ!お好きな席へどうぞ」

ある日の午後。

女性店員の元気な声に、
Aは口元を緩め、奥のテーブル席へと腰掛けた。

杯戸町にある小さな喫茶店。
SNSでは、コーヒーや可愛らしいスコーンの写真が度々UPされており、
以前から気になっていたのだ。


杯戸ショッピングモールにある雑貨店で、
HP製作の案件について少し打ち合わせをした後、
少し時間が出来たため立ち寄ったA。


クリスマスには、
どうやら可愛らしくデコレーションされたスコーンがメニューに並ぶらしいこの店。

クリスマスまではまだ一週間ある今日は、
ランプや壁がクリスマス仕様に飾られている中、
クリスマスメニューの可愛らしい写真が宣伝として壁に貼られている。


『ブレンドコーヒーと、
この、プレーンのスコーンを頂けますか?』

「かしこまりました!少々お待ちください」

店内にはカウンター席に一人男性客がいるだけで、
静かな落ち着いた空間が広がっていた。


(…コーヒーやスコーンが美味しい、って書き込まれてたけど、
お店の雰囲気も素敵ね…)


文字通り一息つくように、
口元を緩めたAは、カバンから取り出した手帳を開き、
ペンを走らせ始めた。


(…あの店の雰囲気だと、やっぱりここはもう少し可愛らしくして…、
それと、この写真もさっき撮った分に差し替えて――。)

あれこれと考えを巡らせながら、
手帳に書きこみを続けるA。


チリン…


そして、入口のドアについた鈴の音が聞こえた少しした後、
聞こえてきた声に、ふと、顔を上げた。


「あ、コーヒー貰える?」

『…』


店内に現れたのは、
さらりと笑みを浮かべ、カウンター内から出てきた店員に注文をする、
萩原だった。


(…こうも度々会うなんてね。

…さっきの人とは違う女の人ね。
なんだか慣れた雰囲気…。
常連客なのかしら。それとも…)


以前、BARで女の子に話しかけていたのを目にしていたAは、
誰に対しても、女にはあぁやって軽く声をかけているんだろうな、と、
すっと視線を手元の手帳に戻した。


「あ…、君。」

『…』


萩原はAに気づいたようだが、
Aは、集中しているかのように、その言葉に気づかないフリをした。

そして、何やら作業中のAを邪魔しないようにそれ以上声をかけることなく、
カウンターに座っていた男性客が席を立つと、
入れ替わるように、カウンターへと足を進める萩原。
その姿をチラリと見つめ、Aは小さくため息をついた。

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設定タグ:名探偵コナン , 萩原研二 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月29日 22時

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