アイスティー_2 ページ18
「お待たせしました」
『ありがとう』
目の前のグラスに広がる淡いブルー。
それに口をつけ、あれこれと葛藤するような複雑な表情を浮かべるA。
しばらく静かにグラスを傾けていると、
入口のドアの開く音とともに、
「あれ。また会ったね」
何やら良く聞くナンパの文句のような言葉が耳に入った。
そして、訝しげに声の主に顔を向けるA。
「確かこの間もそれ、飲んでたよね。
あの男、君がお酒弱いみたいなこと言ってたけど…」
『何か、用?』
「いや、そうじゃないけど。」
特に話すことはない。
それに、やはりあまり関わりたくはないし、
印象は良くない相手。
Aは視線を外すと、ゴクリと残ったカクテルを飲み干した。
『ロングアイランドアイスティー貰えますか?』
「え…、ペース早くない?それにそのカクテルって――」
『…貴方には関係ないと思うけど』
今来たばかりなのに何を言ってるんだ。と、
視線を逸らしたまま答えるA。
確かに、グラスを傾けるといっても、
チビリチビリとではなく、まるでお茶でも飲むようにゴクリとそれを飲むAは、
周囲の人間からすればペースが早いと見えるだろう。
「じゃあ、俺はバーボンを。」
『…何でそこに座るのよ』
「いや、だってカウンターしか空いてないから」
ふと、後ろのテーブル席を見ると、
女性客やカップル、男性の団体客が座っており、確かに1人で座れる場所は、なさそうだ。
『隣に座る必要はないと思うけど』
「まぁまぁ。」
カウンター席は、また2つほど席がある。
何故わざわざ横に来るのだ、と、Aは眉を寄せた。
(子どもいるんじゃないの?何なのこの人…)
そして――
少し乱暴に開いた入口から、1人の男が店に入ってきた。
「悪ぃ。萩原。
ちっと手間取った。」
「お、松田。お疲れ。」
萩原の隣に腰掛ける男を見て、
Aは、どこかで見たことがあるような気がした。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月29日 22時