4869【名探偵コナン】 (ページ9)

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見覚え_3 ページ9

「…何らかの案件に関わっている人物ってことか？
接触してきたんじゃないのか、って聞いてきたってことは、
…組織関連、か」

呟きのような景光の問いに、降谷は小さなため息で答えた。

「…4869。」

「…は？」

「それと、シェリー。と、口にしていた。」

「…」

「残党かもしれない。…あの薬の開発を、未だ続けようとしている可能性が――ある。」

景光とは視線を合わせず、
椅子に座ったまま、PCに映った写真を凝視する降谷。

「…残党、か」

「綾倉A、26歳。米花町の外れのとある研究所の研究員だ。」

「…もう調査済みってことか。さすがだな」

自身だけじゃない。
公安部にはまだ降りていない情報。
この数日で掴んだ情報ということかもしれないが、
既に調べ上げている降谷に、景光は賞賛からか危機感からか、わずかに目を細めた。

「研究所といっても、IT関連の開発を主業とした小さな企業だ。
シェリーと口にしたのは彼女。
そして、その会話の相手は、綾倉達哉 (あやくらたつや) 51歳。
研究所の所長で、彼女の叔父だ。」

「…で、この2人が、”4869”と話していた、ってことか。
シェリーとも言っていたというのは確かにきになるな。」

「…4869の開発。...シェリー。
全ては聞き取れなかったが、おそらく4869の開発について、
急いでいるような雰囲気だった。」

降谷の手元のノートPCに映し出された先ほどとは別の写真に視線を落とす景光。
そこには、Aと言葉を交わしていた人物、彼女の叔父の姿が映し出されていた。

そして、降谷が耳にしたというそれらのワードは、
景光の表情を険しくさせた。

「…それがAPTXだと？」

「それは分からない。
ただ、IT関連の開発業務を行なっているはずの研究所だが、
製薬会社の人間が出入りしているという情報もある。」

「…製薬会社？」

「あぁ。夕暮里にある製薬会社の人間のようだった。
…単にIT関連の取引先か、
…あの研究所が、――製薬にも関わっているのか。
まだ、分からないけどな」

確かに、その情報からして、
疑わしい要素は十分にありそうだ。
現に、景光にとっては、自身の上司であり、最も信頼できる人物が調査を進めている訳だ。

何もなければそれでいい。