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お詫びの印_3 ページ49

『あの…あまり気にしないでください。
本当に――』

「受け取って貰えると、嬉しいんだけど…な」

『…』

「お詫び…もそうだけど、
この前のことも、Barでのことも…、お詫びをしたかったのは…そうなんだけど。
それだけじゃないっていうか…」



またも分かりやすいセリフを垂れる景光。
口説き文句というやつだ。
手馴れていない感じも、その効果を増幅させるそのセリフ。

しかし、あからさまに表情を曇らせて視線を逸らしたAに、
景光はとっさに口を開いた。


「ごめんごめん。困らせるつもりはないんだ。
…お詫びなのに困らせてたら意味ねぇよな。苦手だったら捨ててくれて良いから。…な?」

『え…』

「じゃ、本当にありがとう」



食い下がる訳でもなく、さりげなく紙袋を彼女に渡すと、
本来の”諸伏景光”のように、その場を取り繕い、”ごめんな?”というようにニコリと笑い、
“時田”は足早にその場を去っていった。


手元の紙袋を、しばらく困ったように見つめていたAは、
そのまま部屋に入っていった。

その様子を、マンションの外から伺っていた景光は、

「…やっぱり、家との往復って感じ…、 だな」

と呟いた。


部屋の前で彼女と会ったのは偶然では無い。
15分ほど前、研究所から出てくるところを見るや否や、車で先回りしたのだ。
監視を続けてから、研究所から出た彼女が足を向ける先はこの自宅のみ。
今日も景光の読み通り、そのまま自宅に帰ってきたわけで、”偶然”出くわすことに成功したのだ。

時折、自宅から公園に向かう姿を目にしていたものの、
その息抜きと言える時間は30分程度。
もはや、自宅と研究所の往復しかないといっても過言では無い生活を続けているようだった。


恋人がいるとは、思えない。

口説くようなセリフに、
あからさまに表情を曇らせたのには何か理由があるのか。

そこまで探る必要はないとはいえ、
距離を縮めるためには重要なわけで。


そして、しばらくして部屋の電気が消えるとマンションから姿を表したAが、
再び研究所のビルへ入っていくのを目に移した景光は、
小さなため息を零したのだった。

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設定タグ:名探偵コナン , 諸伏景光 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:white12 | 作成日時:2020年1月27日 20時

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