酔っ払い_5 ページ42
シンプルな部屋。
特に大事なものが置いてあるようにも見えない。
仕事に関するものも、科学技術の本が一冊あるだけ。
あとは誰でも持っているような、実用書や小説。
唯一個人が特定されそうなものといえば、写真立てに飾られた写真だけのように見えた。
その他はギターと、最低限くらいの数着の服だけ。
監視を始めてからというもの、
今しがた出ていったように、いや、戻ったといった方が正しいのか。
自宅に帰り、しばらくして、再び研究所に戻っていくような日が多いようだ。
つまり、この部屋には大した愛着も無いのだろうか。
「研究所に近い部屋を一時的に借りている――という可能性もあるけど…。」
景光は、用意されたペットボトルの水を手にし、
それには口をつけることなく、テーブルに置かれた鍵を手に部屋を出て行こうとした。
しかし、何かを思い出したように、
もう一度ゆっくりクローゼットを開け、中をちらりと物色した後、
1着の白っぽいコートを手に取った。
そして、襟元を何やら探ると、
「…あった」
コートから外したのは、以前、自身がつけた盗聴器だ。
それをさりげなく回収すると、
“…ありがとう”
と軽く言い残し、景光は部屋を出ていった。
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作者名:white12 | 作成日時:2020年1月27日 20時