酔っ払い ページ38
3日後の金曜日。
23時を回り、研究所のビルを後にしたAは、
15分ほど歩いた先にあるマンションに帰る道を歩きながら、カバンに手を入れた。
ピタリと立ち止まり、スマホの画面をONにする。
呼び出したのは、時田から来たショートメールだ。
返信はしていない。
何度かそれを目にしているものの、
数日経った今、返信をするつもりもなかった。
ただ、削除も出来ない自分に、困ったようにため息をつくと、
見なかったふりをするようにディスプレイをOFFにして、再び歩き出した。
そして5分後。
Aは再び足を止め、
マンション近くの路地で固まっていた。
『…え…?』
そして、視線の先に映る人物に小さく目を見開き、反射的に駆け寄った。
路地の壁に背をもたれ掛からせた体勢で座り込み、
宙を仰ぐようにして目を閉じている人物。
“どう見ても”、普通じゃない。
顔が見える体勢だったため、見知った人物だと判断したAだが、
『…時田、さん?』
恐る恐る近づき、どう見ても平常じゃないその人物に、心配そうに声を掛けるA。
『…お酒…臭い…』
その匂いで、酒を飲んでいるのだと理解し、
軽く肩を揺するA。
季節はすっかり冬だ。
コートを着ているとはいえ、こんなところで寝ていては風邪を引くどころじゃない。
『時田さん、大丈夫ですか?』
「ん…」
『あ、気づきました?…大丈夫――
…っ…』
時田――、景光が軽く目を開けたことに安堵したA。
しかし、かなり体格差がある彼が覆いかぶさるようにして抱きついてきたことで、
あからさまに戸惑い、その身体を2本の腕で何とか支えるようにして距離を取った。
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作者名:white12 | 作成日時:2020年1月27日 20時