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シェリー_2 ページ32

「ご存知ありませんか?」

「知らないわ。”安室さん”が私に聞きにきたってことは、…組織の人間ってこと?」


白衣のポケットに手を入れ、志保は安室を軽く睨むように見据えた。


「それは、分かりません。
ただ、見覚えがないかを聞きたかっただけです」

「…そう。でも、悪いけど見たことないわ」

「じゃあ、彼はどうですか?」


Aの写真に続いて、
彼女の叔父、あの研究所の所長である綾倉 達哉の写真を志保に見せる安室。


「…知らないけど」

「そうですか。」

「…」

安室の意図を読み取るかのように、
もう一度ジロリと彼に視線を向ける志保。

「…研究者だった人間かもしれない、ってこと?その”彼ら”。」

「…詮索は無用ですよ。
ただ、1つ。教えて貰えると助かります。」

「何…?」

「あなたが組織にいた頃、その” 研究者”とやらはどのくらいいたんですか?」


研究者だった自分にわざわざ聞きにきたことから、軽く詮索した志保。
そして、彼女の問いに、YESと答えているようなものと言える安室のセリフ。
研究員について、探っているのだと。
その可能性について。

志保は、一度小さく息を吐くと、

「知らないわ」

と答えた。


「…”知らない”、…ですか」

「何人かいたようだけど、…APTX4869の開発に携わっていたのは私だけ。
あの薬を開発しているっていうこと、ヘル・エンジェルの仕事を引き継いでいるということ、
彼女の子どもだということで、…私の周りにはあまり人はいなかったから」

「…」


悲しむでもなく、表情を変えずさらりと言ってのける志保。
安室は、少し目を細めて口を閉ざしていた。


「…私が組織を抜け出したあと、誰かがAPTXの開発を進めていたのか、
新しい研究者が組織に連れてこられたのか、…私には分からない。
その写真の彼らのことは、私は知らないわ。」


確認するようにもう一度”知らない”と口にした志保に、
安室は礼を述べると博士の家を出ていった。


(“シェリー”は、知らない…か。
でも、綾倉Aの方は…、まだ分からない。
あとはヒロからの情報…だな。)


彼女から特に情報が得られたわけではない。
しかし、”シェリー”は彼女を知らないという重要な情報を得られた訳だ。


安室は2枚の写真をコートの内ポケットにしまうと、
今日もシフトが入っている喫茶店ポアロへと車を走らせたのだった。

フードの女→←シェリー



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設定タグ:名探偵コナン , 諸伏景光 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:white12 | 作成日時:2020年1月27日 20時

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