出会いと警告 ページ1
ある冬の夜。
公安部の任務を終えた諸伏景光は、自宅へ戻るため、
いや、”一旦”自宅へ戻るため、杯戸公園を歩いていた。
フードを被り、さりげなく周囲を警戒しながら。
NOCとして潜入していた黒の組織が壊滅してから4ヶ月。
幹部であるジンやウォッカ、ベルモットをはじめ、組織のメンバーは拘留中だ。
FBI、SIS、そして、日本の公安警察によって。
しかし、国内外にその手を大きく広げていた犯罪組織に関わっていた人間を全て捉えることは容易ではなく。
幹部以外の残党がいる可能性は充分にあるのだ。
NOCとして潜入していた彼、いや、”彼ら”は、
組織制圧時、極力顔を見られないように裏で動いていた。
それは、NOCであったことを明確に奴らに知られないためだ。
拘留される人物にその正体を明らかにすることは問題ない。
しかし――、
その情報が取り逃がした組織のメンバーに知られる危険性を考慮した上でのことだ。
彼らに狙われることを考えて、ということだ。
そして、”今後の”捜査に支障がでないためでもある。
裏で動く犯罪組織の連中が、NOCと思われる怪しい人物の情報を交換し合っていることは珍しくないからだ。
今後、再び何らかの組織に潜入することになった場合、を考慮してということ。
「…ん?」
夜の杯戸公園は、人気がない。
敢えてそういう場所を選んで歩いている訳だが、
ふと耳に入ってきた声に、景光は歩くスピードを緩め、ちらりと周囲に視線を向けた。
「…ギター?」
かすかな歌声。
そして、同時に聞こえてきたのは、ゆったりとしたギターの音色。
冬のシンとした空気のせいか。
透き通って聞こえてくるようなそれらの音に、
それを発している主に目を留め、もう少しだけ歩くスピードを落とした景光。
148人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:white12 | 作成日時:2020年1月27日 20時