301号室_5 ページ49
(…。やっぱり。)
険しい表情のまま、
奥歯を噛み締めながら
頭の中を回転させるA。
「…。
…さっき、
ドアの外で、物音がしました…
もしかして…誰か、入って来――」
Aが怯えた”様子”で、
報告するように、小さな声を漏らすと、
爆弾男は、
ギロリ、とドアの方へ視線を向けた。
そして、
ゆっくり、ドアの方へと向かっていく。
( …。)
静かに、その様子を伺うA。
そして、男がドアに近づき、
人質の3人に背を向けると、
拘束されている2人に向かって、
Aは真剣な表情で目を細めた。
“大丈夫”、とでも言うように。
――ガシャン…!!
突如、部屋に響く、何かが割れた音。
ドアの近くで、
様子を伺っていた爆弾男が、
とっさに向き直る。
「何だ!?」
後ろ手に拘束されたままの、
人質3人と、
そして、窓に目を向けると…
そこには、割れた窓と、
その下に散乱したガラス。
「…な、何かが外から…」
Aが怯えたまま、
何が起こったのか分からない、
というように、呟く。
男が窓に近づき、
足元に目を落とし、
ゆっくり手を伸ばす。
「…何だ、これ」
それは、
小さなガラスボールのような、もの。
「…ふざけんな!!
こいつら吹っ飛ばすぞ!!
…さっさと冴島連れてこい!」
その、
ふざけた”挑発”に、
階下の警察へ、
爆弾男は大声で叫ぶ。
そして、
足元に散乱したガラスを避けながら、
ゆっくりとデスクの方へと戻り、
大きな舌打ちを漏らした。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月25日 18時