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杯戸シティホテル_2 ページ44
客室の方へ移動しようとしているのか、
男は、Aのいるフロントの方へと歩いて来る。
そして、
Aが手にしていたスマホが、
カシャンと床に落ちた。
Aの手から落ちたスマホは、
ロビーの床をスライドし、
男の足元へ滑っていく。
「ぁ…」
ナイフを手にした男と、
目が合い、
小さく声を漏らすA。
男が静かに足元に目を向けると、
睨みつけるようにそのディスプレイを眺めている。
ディスプレイには、
瞬時に撮影したのか、
男の写真が、映し出されてあった。
身体にまかれた爆弾と、
男が手にしたナイフ、
そして、
怯えながら男についていく2人を、
静かに見つめるA。
――が、
瞬時に、
怯えるようにカタカタ震えだし、
とっさにその場を去ろうとしたところ、
「…お前も、来い。
早くしろ...！」
リモコンにかけた親指を、
今にも押すぞ、というように、
左手を振りかざし、
A、
早川 瑞希に、
右手のナイフを向けた。
「は、はい…」
床に転がったままの早川 瑞希のスマホを残し、
Aは、
先ほど男に指名されていた男女2人とともに、
爆弾男に脅されながら、
ホテル内へと入っていった。
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作者名：white12
| 作成日時：2019年7月25日 18時
