いつの日か。(3)【安室透/降谷零】 (ページ25)

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小さな疑惑_2 ページ25

『…昨夜偶然会ったんだよ。
彼女に。山の中を何となく散歩してたら、ね。』

「早川さんに？」

『彼女も、散歩していたみたいでね。
でも、服が泥だらけだったからびっくりして…
話を聞いたら、走ってきた人にぶつかって、
道の脇に滑り落ちてしまった、って言ってたんだけど…
夜も遅かったし、何だか気になってね。
ぶつかったんじゃなくて、
もしかしたら、襲われかけてたんじゃないか…って

昨日は、蘭さんも滑りそうになってたし、
道がぬかるんで滑ったことが幸いしただけなんじゃないかって、
何となく、思っただけだよ。』

本当を交えた、嘘。
降谷にとっては、
安室にとっては、日常茶飯事。
もう慣れたものだ。

一件落着して安堵したのか、
饒舌に口から出る誤魔化し (ごまかし)に、
安室は心の中で苦笑した。

「ぶつかってきた男が、
さっきの守屋って人だと思ったの？」

『何となく、だけどね。
彼女、ずいぶん背の高い人だったって、言ってたんだよ。
それに、姿が見えないって、さっきスタッフが探してただろう？

まさか…と思ったら、
君と一緒にあの布切れを見つけて、ね』

「ふぅん…」

その安室の饒舌な話に、
やや違和感を感じ、
そして、
旅館でたまたま出会った“早川瑞希”が、
あの男を撃退した、と思われる彼女が、
何となく気になりながらも、

コナンはそれ以上何も聞かなかった。