Rain (3)【名探偵コナン】

確かめてみれば_4 ページ39

戸惑いながらその場を動けずAの言葉を聞いていた松田は、
困ったように考える素振りを見せた。

そして大きく溜息のような吐息を零すと――

「なら、確かめてみれば良いんじゃねぇか？アンタが。」

と、口を開いた。


『え…』

「…褒められてんのか、けなされてんのか…よく分かんねぇけどな。
優しいとか、誠実とか…、その、何だ、素敵な人だとか、
そういうの、自分で分かる訳ねぇだろ。
他人にしか、アンタにしか、分からねぇだろ。」

『…』


男を見る目がないと言った自分に、
褒められるような言葉を並べられたところで、それは相手を不快にさせるだけだろう。
いや、思ってしまいそうになる、という言葉自体、
実際はそうではない、という意味が含まれていると捉えられてもおかしくない。

あまりにも正直に言葉を並べてしまったことに、
Aは動揺した。


「まぁ、自分で”優しい”とか言ってるやつほど、嘘臭ぇってことだ。
じゃあ、アンタは分かんのかよ」

『え？』

「自分が、優しいとか、誠実とか、…素敵なやつだとか。」

『…それは…』

「…くだらねぇ男にばっか引っかかって、危なっかしくてほっとけねぇ奴だってこととか、
店を大事にして一生懸命なところは別人みてぇで、
夢をちゃんと叶える強さがあって、
酷い目に合わされても、逃げねぇで言いたい事言える強さをもってる、
その…、良い女だってこととか。

自分のこと、そうやって言い切れんのかよ」

『…』

前半は何となく、自分に跳ね返ってきた質問というか文句のように感じたが、
後半は何を言われているのか分からなかったAは、瞬きを繰り返している。

(…えっと…何、の話…だっけ)

褒められたように感じるのは気のせいか。
やはり自意識過剰、というやつか。


「…だから、俺が分かる訳ねぇだろ。
まぁ、俺は、アンタが言ったようにこんな風に口は悪ぃし、態度は悪ぃし、
…人の言うこと聞かねぇし、…配慮は足りねぇし。」

普段佐藤に言われるセリフを思い出しながら、
言葉を続ける松田。
配慮が…の件 (くだり)は、この店に対するあの一件も含まれているのだろうか。

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