Rain (3)【名探偵コナン】

捜査一課の刑事さん_3 ページ24

「松田さん、良く来てるんですよね？ここに」

『…あ、えっと前に事件があったときに、…その、お世話になってから、
度々お店に来て下さっています。
でも――』

「でも？」
「…？」

『この1ヶ月ほどは来られていませんけど…』

同じく小声になったAの口から出た言葉を聞いて、
高木と伊達は顔を見合わせるようにして不思議そうな顔をした。

「あれ、でも佐藤さんの話じゃ――」

『佐藤さん…。
あ、もしかしてお2人、刑事さん…ですか？』

松田に、佐藤。
2人のことを同僚のように話す目の前の男たちに、
Aが口を開いた。


「あ、すみません。申し遅れました。
捜査一課の高木、と言います。
こちらは同じく一課の伊達さんです。」

「ま、一課のワタルブラザーズってやつだ。」

『…ワタルブラザーズ…？』

不思議そうに鸚鵡返しをするAの前で、
楽しそうに高木の肩に腕を乗せて口を開く伊達。
“ちょ、ちょっとこんなところで…”と、
高木は何やら恥ずかしそうに笑っている。


「あ、えっとすみません。
伊達さんと僕、名前が同じで。」

『…あ、そういうことですか。
仲が良さそう、ですね。』

ニコリと笑ったAは、
数日前に同じような話をしたことを思い出す。
そして、今日もまた”松田”のことを話す客が来たことで、
その目に少しだけ、寂しそうな色が浮かんだ。


「じゃあ、他の捜査でもしてんじゃねぇのか？アイツ。」

「佐藤さんの勘違い…かもしれませんしね。」

『…何の話ですか？』

「あーえっと…ですね。
実は――」


そうしてこそっと高木が話したのは、

佐藤と松田はコンビとして、大抵一緒に捜査に行くのだが、
ここ1ヶ月ほど、
杯戸町や米花町で捜査を終えた後に、
松田は必ずどこかへ寄っていくと行って、
佐藤とは一緒に警視庁へ戻らないらしいこと。

そして、
米花町の捜査では、互いに車に乗り込んでしまうため分からないが、
杯戸町の捜査の後で彼が歩いていく方向は、
いつも決まって、商店街の方向で。

商店街を抜けた先の道に店を構えるCafé Rainへ寄っていってるんじゃないかと、
佐藤が話していたというのだ。

松田は決して口にしなかったが、
桜田の事件の件以来、松田が度々店に足を運んでいることに気づいていた佐藤。
あの事件の後、別行動で近くを捜査していた際、店に入っていく彼を何度か見たこともある佐藤は、
そう考えていたのだ。

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