緊迫の3分_5 ページ37
(…あと、1つは、店の奥。
応接室の方…)
やはり同じ構造だった小型爆弾のコードを、同様に切断すると、
Aは、店の奥へと走っていく。
デジタル時計の表示は、18:14のまま。
しかし、もうすぐ表示は変わるだろう。
つまり、もうすぐあと1分を切る、という状況。
応接室近くの壁の下に設置された爆弾のカバーを開けると、
それは、他の2つとは違い、少し複雑な構造をしていた。
『…え…これ…』
集中するように、
構造を確認し、1つ1つコードを切断するA。
鈍く痛み続ける右手首を押さえながら。
しかし、電源に繋がると思われたコードを切断しても、ランプの点滅は消えない。
『…もう1つ、別の回路が繋がってる…』
浅い息を吐くA。
手首の時計は砕け、時間が分からない。
焦りが募る。
入口の爆弾は、先ほど松田らしき人物が確認しているのが見えた。
…もう解体されているのだろうか。
焦りで、
手首の鈍い痛みで、手が震え続ける。
どんどん浅くなる呼吸を、ゆっくり落ち着けながら爆弾と向き合うA。
そして――
ガチャッ
突如、裏口の方から金属音が聞こえとっさに視線を向けると、
その目に映った人物に、
理解が追いつかず、固まるA。
『…な、何で…?』
「…」
突如現れたスーツ姿の人物もまた、
Aを目にし、小さく目を見開いていた。
しかし、すぐさま、Aの目の前にしゃがみこむと、
「…焦りこそ、最大のトラップ。」
そう言ってすっと息を吐き、真剣な表情で爆弾のコードを確認し始めた。
『…え?』
「…ここだ。そのナイフ、貸してくれ」
そして、Aの赤く染まった手首を、
小さく震えるその手を見て一瞬顔を歪めるも、
Aの手からナイフを奪い取り、
すっと、1本のコードを切断した。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月17日 12時